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=入試編= シンロセレクト
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これから非常に厳しい競争社会に飛び込みます。聞いた話では雄英高校ヒーロー科は生徒に見込みがないと判断された場合教師権限でその者を退学処分に追いやることもでき、去年は一クラス丸ごと退学にさせられたということです」
「それは……色々と常軌を逸してますね。入試でさえあのキツさなのにそれ以上を求められるってことですか」
「そうです。雄英に限らず、半端な覚悟でヒーローを目指してはドロップアウトする生徒が後を絶たない。にも関わらず世はヒーロー飽和社会……それが意味するのは、学生時代から始まる終わらない競争です」

 真剣な表情の師範を見ていると、原作オールマイトの発言を思い出す。常にトップを目指すものとそうでない者の差は社会に出てから大きく響く、だったか。なぁなぁで妥協しているようではこれからの厳しく危ないヒーロー道は歩めないだろう。
 本当に――生半可な道ではない。原作で死刑囚ムーンフィッシュの元に寸断された手が転がっていた時の肝が冷える感覚をリアルに味わうことになるだろう。あれはかっちゃんさえ顔色を変える程の衝撃だった。

「貴方は、そんな厳しい道を最後まで渡り切る覚悟がありますか?」
「……………」
「入試の合格通知が出てからそれほど日は経っていませんね。貴方のことだ、滑り止めで別の学校でも合格しているのでしょう。返事次第ではまだ別の道を選べます。それでも、あなたはヒーローになるのですか?途中で投げ出して人生の時間を無駄にしないとここで誓えますか?」

 この人は俺を慮ってこんな厳しいことを言っているのだろう。
 本当、もしかしなくても俺の担任より俺の将来を考えてるんだろうな。担任はヒーロー目指すって言い始めたときは「向いてない」って断固反対したくせに、昨日合格したって伝えたら手のひらを返しやがった。プロヒーローへの道を楽観視しているからだ。

 しかし、俺だって楽な道じゃないことはとっくに……それこそ他の受験者以上に知ってるんだ。

「――やりたいことがあるんです。そのために通らなきゃならない道なんです」

 デク君の死は絶対に回避する。
 俺の見た未来を、俺の手で完全に捻じ曲げる。

「壁は多く、大きく、そして厚いですよ?壊せますか?」
「知恵と勇気と、あと剣道でぶっ壊します」
「――決意は固いようだ。もし剣の道に迷ったら私の下を尋ねなさい」

 それだけ言って、先生は道場の奥へと歩いて行った。
 もう別れは済ませている。俺もまた道場の玄関へ、振り返らずに進んだ。
 きっとここへ戻ってくる日は、今日からずっと後になるだろう。

「――ところで水落石くん。君たしか受験勉強の関係で月謝三か月分くらい滞納してなかったっけ。この袋の中身じゃ清算に全然足りないんだけど」
「……………………………師範、事情話した
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