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=入試編= シンロセレクト
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(あ、こりゃもう駄目だわ……)

 ゆっくりこちらに傾てくる0Pロボットを見て、葉隠透は自分でも驚くほどのんきに無事な生還を諦めた。あのロボットに踏み潰されたらイタイじゃ済まないと思っていたところに助けが来てホッとしたのも束の間、今度はロボットが倒されてこっちに突っ込んでくるという危機の連続はいっそ笑えて来る。

 あのロボットを転倒させるなど予想外もいいところだ。葉隠の鼻先三寸を駆け抜けて危うく踏まれるかと思ったサイの人は凄いと思うけど、せめて転倒させる方向ぐらい考えて欲しかった。

 何より無念なのが、たった今葉隠を助け起こしている少年をモロに巻き込んでしまったことだ。助けを求めたばっかりに少年が動き、少年を見てサイの人が突っ込んできた。というかそれ以前にさっきまで残骸の下敷きになってたのも敵ロボにやられそうだった子を庇って巻き添えを食らったからだ。よく考えたくても原因はわりかし葉隠にある。

「今すぐ私を捨てて逃げて………って、もう間に合わないかぁ」
「うん、だから逃げるのは諦めて別の方法にしよっか。大丈夫大丈夫、イケルイケル」
「や、イケないっぽくない!?もしかして『個性』でここを抜け出す……んじゃないよね。ここに来るとき走ってたし、移動に有利な『個性』ならもう使ってるもん」
「まぁね」
「ダメじゃん!!」

 常識的に考えて、機動力のある『個性』を持っていたのなら助けに来るときにとっくに使用していたはずである。或いは『個性』の反動の関係でけが人を確保してから使用する可能性もあったが、それも今のあっけらかんとした返事によって可能性が途絶えた。
 じゃあどうする気だと疑問に思う葉隠を抱えて数歩歩き、そこで座り込んで葉隠をそっと寝かせた。
 そして、葉隠を庇うように彼女の頭を抱えて覆いかぶさった。

「よし!」
「何が!?」

 全然行動の意図が分からないけど、これはアレだろうか。死ぬ前の思春期男子が行う儀式なのだろうか。スケベしようやぁ……なんだろうか。ここは庇ってくれてるものと信じたいなぁ、などと願望を抱いている頃には、既に巨大ロボットが衝突する寸前まで迫っていた。

(ああ、今まで極限まで透明になろうとしてきた私の人生の努力や暖かい記憶が走馬灯のように駆けてゆくっ……ってガチの走馬灯やんか!?いやぁぁ〜〜!!ちょっとタンマタンマ――!)

 そして、衝撃。

 無防備な葉隠の体は数百トンはあろうかという鋼鉄の傀儡に押し潰されて見るも無残な汚ねぇ押し花に――。

「たんまぁぁぁぁ………ぁれ?」

 ならなかった。

 衝撃も来たし、視界も真っ暗になっているのだが……体に感じるのは痛みではなく上に覆いかぶさっている少年の体の感触だけである。むしろいっそ「男の子に抱きしめられるのって
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