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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四十九話 マリーンドルフ伯の戦慄
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帥の元で仕事をしている。仕事といってもフィッツシモンズ中佐の手伝いだ、大した事ではない。しかし改革に賛成しているというメッセージにはなる。それが狙いだろう。
一昨日、ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯が夫人と令嬢を皇帝の下に返してきた。巷では皇帝を説得させ改革を廃止に追い込む為だと言われている。おそらく両家が積極的に流した噂だろうが実際には違う。
両家とも政府に恭順を誓ってきた。ラインハルト様から聞いたのだが、両家はヴァレンシュタイン司令長官の案に従って辺境への領地替えを願い出る事になるだろう。
ラインハルト様は司令長官の案に不満そうだ。ブラウンシュバイク、リッテンハイム両家が反乱を起さなければ、不平貴族たちを集める核が存在しなくなる。反乱は地方に分散し、討伐は時間がかかるというのだ。
自分もそう思う。司令長官は誤った。おそらくはリヒテンラーデ侯の言う、フロイライン達の今後、皇帝の気持ちを考えたうえでのことだと思うが、それでも誤ったと思う。
宇宙艦隊は既に出撃準備は整っている。後は何時貴族たちが暴発するかだが、司令長官は遅くとも年内には暴発すると見ている。その点に関してはラインハルト様も同意見だ。司令長官は貴族達を経済的に追い詰めて暴発させるようだ。
ヴァレンシュタイン司令長官が部屋にやって来たのは、コーヒーを飲み終わり、そろそろ片付けようかという時だった。休息中の会話には司令長官に対する批判めいた言葉もあった。いささかばつが悪い。
慌てて飲み物を用意しようとしたが司令長官から余りゆっくりもしていられないのだと断られた。司令長官は近くに有った椅子に腰掛けるとラインハルト様に話し始めた。
「実は今日はローエングラム伯にお願いが有ってきたのですよ」
「お願いですか」
「ええ」
司令長官は穏やかに微笑みながら私を見た。
「キルヒアイス准将をしばらく貸していただけないでしょうか?」
「キルヒアイスをですか」
私を借りたい? どういうことだろう? 思わずラインハルト様と司令長官を交互に見てしまう。ラインハルト様も困惑しながら私と司令長官を見ている。
「しばらくというのはどの程度でしょう?」
「そうですね。大体一年と見てもらえば良いと思います」
「一年! それは……」
一年と聞いて絶句するラインハルト様に司令長官が言葉を続けた。
「こう言っては何ですが、お二人は少し離れたほうが良いと思うのですよ。今のままでは何処まで行ってもキルヒアイス准将はローエングラム伯の幼馴染の副官でしかない。誰もキルヒアイス准将の力量を正しく評価しようとはしないでしょう」
「……」
「それにローエングラム伯も慣れているからでしょうね、どうしてもキルヒアイス准将に頼りがちになる。周囲の人間もそれを知っ
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