第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#11
DARK BLUE MOONV 〜Revenger×Avenger〜
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“狩人” フリアグネすらも遙かに上廻る。
今まで自分が交戦した 『スタンド使い』 の中にも果たして、
ここまでの強者がいたか否か。
加えてこの美女の、マージョリーの能力はまだまだ底が知れない。
「が……ぐぅ……おぉぉぉぉおお……何の……コレしき……!」
巨大な身体の至る箇所が蒼きの双牙によって喰い破られ、
もうその機能を満足に果たせなくなったにも関わらず徒は、
抉れた疵痕から木欄色の炎を吹きだしながら
ただ精神の力のみで無理矢理立ち上がろうとする。
だが身体は意志に反して殆ど動かず、
苦悶よりも悔恨で口中をギリッと鳴らした瞬間、
「ほらほら、ボサッとしてると」
「!!」
再び神器 “グリモア” から伸びた魔獣の牙が
徒の右頭部に喰らいつき中の眼球ごとその上部に位置する大角を
表面に微細に走る亀裂と共に断砕した。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアア―――――――――――ッッッッッッッ!!!!!」
己の肉体と共に尊厳と誇りまでも粉々に撃ち砕かれた徒は、
鼓膜を劈くような絶叫を封絶で覆われた空間に響かせた。
「フン、不味かァねーが、オレ達の敵じゃねーな。
それにテメー? 昔マージョリーにヤられた疵が治癒ンねーんだろ?
自在法で誤魔化しちゃあいるようだが、内部はもうガタガタの筈だぜ」
目敏く砕け飛んだ一角を銜えてグリモアに戻ってきたマルコシアスは、
その硬い突起を苦もなくガリガリ噛み砕きながら 『本』 の中へと咀嚼する。
「……ッ!」
そして肯綮を突かれたのか押し黙る手負い徒を一瞥した後、
「嬲るのもそろそろ飽きたぜ。終いにしねーか?
我が壮烈なる “自在師” マージョリー・ドー」
惨憺足る姿で地に伏す己が同胞から視線を逸らし長年の相方に問う。
「どうやら 『ゾディアック』 を遣うまでもなさそうだしね。
“アレ” を試すのはお預けか」
「おお、ヤめとけヤめとけ。
“あんなモン” 発動させちまったら、
こんなちんけな封絶なんぞクソの役にも立ちゃしねー。
噴き走った存在の力を感知されたら、ラミーでなくても海の彼方まで逃げ出すぜ」
「そうね。ウォームアップはコレ位でいいか」
そう言って長い栗色の髪を封絶に靡かせ、三度徒を傲然と見下ろす美女。
その姿は、己の数倍以上の巨大な存在として徒の隻眼に映った。
そして、静かに到来する言葉。
憎しみと狂気の悦楽に歪んだ、永別の弔詞。
「何年も何十年も、無駄な努力ご苦労様」
言葉の終わりと同時に、硬い装甲で覆われている筈である己が躯、
その胴体部をいとも容易く喰い破る魔獣の双牙。
一瞬の間も置かず轢断するかのように真っ二つへと割かれた己が存在。
「――――――――――――
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