第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#11
DARK BLUE MOONV 〜Revenger×Avenger〜
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う。
「さぁ〜てねぇ〜。王なんざぁ、さんざっぱら討滅してっから、
いちいち覚えてねーなぁ」
問われた契約者は自分の上に乗せられていた紙袋を中身ごと
バリバリ噛み砕きながら無関心に返した。
「……!!」
黒尽くめの男の殺気が一段と尖る。
「でもこの封絶の色……あぁ、テメーもしかして 『鬼眼大聖』 の生き残りか?
あンのヤローはその配下が無駄に12もいやがったから
全部は殺りきれてなかったかもしれねぇ。
ンでそン中の一匹が亡き主の仇討ちってワケか?
そりゃあ涙ぐましいこって、
ギャーーーーーーーハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!」
木欄色の火の粉舞い散る空間で、狂猛なる紅世の王の哄笑が木霊した。
「黙れッッ!!」
マルコシアスの言葉が正鵠を射ったのか、男はそこで初めて声を荒げる。
忠誠を誓う主を護れず、しかしその後を追うコトも赦されず、
恥辱に身を引き裂かれるような想いで生き抜いてきたこの数十年間。
男はたった一つの想いが故それに耐えた。
破滅の爪牙がスベテを切り刻んだ場所。
無数の同胞の亡骸と共に瀕死の状態となって地に伏していた己に、
その眼前で首だけとなった王の口から、最後に告げられた言葉。
“生きろ”
それだけを糧に、男は今日まで生きてきた。
その言葉の真意をみつける為に。
己からスベテを奪った忌まわしきフレイムヘイズに “報復” を遂げる為に。
「“鬼眼大聖” ね。思い出したわ。なかなか強かったわね。アイツ。
でも仲間の十二人と後先考えず人間喰らってたから “私達” にみつかって
全部まとめて討滅されたわけだけど、生き残りがいたとはね」
過去の話には興味がないのか、美女は感情を込めず淡々とした口調で徒に告げる。
その次の刹那。
「グオオオオオオオオオオオォォォォォォォ――――――――――!!!!!!!!!!
黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」
ビリビリと空気を劈く叫声。
それと同時に男の全身を覆い尽くしていた黒革のコートが薄紙のように引き裂かれる。
同様にインナーもパンツもブーツも。
そして、火の粉と共に空間に舞い散る千切れた残骸の中から姿を現したのは。
美女の身の丈を遙かに超える諸刃の巨剣を両に携えた魔物の姿。
全身を覆う硬い鱗は鋼鉄のような無数の突起でビッシリと埋め尽くされ、
尖った先端部周辺に肉瘤を纏った禍々しい尾を背後に流し、
頭頂部にその倍はある3本の大角を天に向けて屹立させている。
面積比で美女の約5倍、体積比ならその10倍は在ろうかという、徒の真の姿の現出。
「……」
しかしその圧倒的存在を前に美女は眉一つ顰めず、
突風で舞い踊った髪を抑えたのみだった。
「下世話な
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