第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#11
DARK BLUE MOONV 〜Revenger×Avenger〜
[2/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が違った。
(すいません。騙すつもりはないのですが、貴女を困惑させたくなかったのです。
頑張ってくださいね。理不尽な能力に抵抗できない
罪無き人々を護る為にも)
瞬き一つしない琥珀の双眸で、花京院は慈しむようにマージョリーをみつめ
そっと静かなエールを彼女の背中越しに送る。
ソレが伝わったのか否か、美女はいきなりくるりとこちらを振り向き
踵の高いヒールを鳴らしながら再度己の傍へと歩み寄り、
その美貌を肌が触れるほどの超近距離に寄せる。
「それにしてもコイツ、本当にイイ男ね。
いまなら、キスしちゃっても気づかないかな?」
(!?)
熱に浮かされたような声でそう言いながら、
マージョリーはマニキュアで彩られた細い指先で、
花京院の整った輪郭を艶めかしくつ、と撫ぜる。
その頬には無垢な赤味が差し、表情は蕩けるような艶っぽいモノとなっていた。
(……そ、ソレは、マズイ……ッ!)
一流のスタンド能力者で在るが故、裡で眠るスタンドの気配を消す事は可能だが
己の感情まで消すコトが出来るワケではない。
普通の人間を装っている為身動きできず、
しかしそのように軽々しくするような行為ではないと常日頃から認識している美男子は
美女の誘惑が戯れであるコトを心から祈った。
ソコに意外な助け船。
「オイオイオイオイ、後にしな。
我が多情な妖姫マージョリー・ドー。
それにおまえサンの熱く烈しいヴェーゼをくれてやる相手は、
まずアイツだろ?」
そう言ってマルコシアスが炎で形作った指で差した先。
ソコ、に。
「……」
時節は初夏だというのに、黒いレザーのロングコートを着た男がいた。
そのインナーもパンツもブーツも、全て同じ黒尽くめ。
表情は目深に被ったフードの為に伺えない。
しかしその全身から尋常なるざる殺気を放ち、
漏れる吐息から獣のような唸りを発している。
「グゥ……オオオ……見つけたぞ……我が怨敵、『蹂躙の爪牙』
そのフレイムヘイズ、“弔詞の詠み手”……!」
地獄の底から漏れいずるような、
憎悪と怨嗟に充ち充ちた声がその男から吐き出された。
暗闇の奥で凶悪に光る異界の瞳。
ソレが周囲の光景を意に返さずマージョリーとマルコシアスのみに向けられる。
「はぁん? 誰? お前?」
己に向けられたドス黒い声とは対照的に、
美女は道端の石ころをみるような視線で男を見据え
気流に靡く髪を挑発的に掻きあげる。
「ムゥゥゥ……忘れたとは云わさぬぞ……我が王とその同胞スベテを……
ソノ存在の欠片も遺さず無惨に討滅した貴様等の所業を……!」
全身を貫く屈辱の為、空気を震わせるような声で己を睨む男に対し
「誰だっけ?」
と美女は取り澄ました顔でマルコシアスに問
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ