死者を食らう茸
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ちな感じ十分理系っぽいがな…
「そ、そうだ仕様書と納期が書かれたプリントを毎日机の上に置いておくというのは!あー、この仕様でこの納期かー、このプロジェクトに関わった技術者は過労死だなー…ってアピールに!!」
「他部署のプリント間違えて持ってきちゃったポイーで終わりだ」
…内輪の事情を万人が理解すると考えがちな感じは理系的だけどな…
「こういうのはどうです!?クライアントからの状況を全く理解してない無茶苦茶なフィードバックのメールが毎日毎日届くのです!昨日説明した事情を全く理解してない体で、毎日毎日!!あの低能クライアントが!!ってイライラくること請け合いですっ!!」
「おい後半、只の恨み言になっちゃってる」
そしてイライラさせてどうする。
「駄目ですか!?こんなに恨めしいのに!?」
「…恨めしいから出て来たのは分かるが…でもそれスパム扱いされてポイかな…」
「そんなことばかり言われたら…もう血みどろで物陰から飛び出す位しか残ってないじゃないですか!血みどろで死んだわけでもないのに!!」
ツーブロックを掻き乱して山田がのたうち回り始めた。…大変だったのは確かなようだ。多忙なエリートもいい事ばかりじゃないようだ。
「……まぁ、落ち着けよ。山田さん、あんたそもそも、何で化けて出たかったんだ?」
「……誰かに、聞いて欲しく……ぐっ……」
山田が鼻をぐずぐずさせながら喉を詰まらせた。なんかこう…悪い意味でリアルな幽霊だなこいつ。
「まぁ…呑め。話は、たまになら聞くから」
何だか気の毒になってきて、冷蔵庫から出したばかりの発泡酒を『供えた』。奴はえぐっ…えぐっ…としゃくりあげながら、酒を『呑んだ』。
「ひっく…聞いてくれて…ありがとうございます…」
あまり理系で理性的な現れ方ではなかった気がするが、奴は目的は果たしたわけか。山田はひとしきり呑み、泣いたあと、ゆっくりと立ち上がってゆらめいた。
「ありがとう…本当にありがとうございます…私は…行ってきます…」
おう、成仏というやつか。山田はゆらめいて更に薄くなった。
「……女湯に……」
そして完全に消えた。そうか、そうか。行くがいい。女湯に……
―――女湯だと!?
「おい山田てめぇ!!いま女湯っつったか!?」
ふざけんな敷金おじゃんにして酒呑んで愚痴聞かせて気が済んだら覗きかよ!!ちっくしょう出てこい山田!!もう許さないぞ!!
箒振り回して叫んでいたら、下の階の奴が『うるさいんですけど』と苦情を云いに来た。そもそもお前に幽霊見えれば俺がこんな訳のわからん被害に遭うことなかったのに、と思うと納得いかないものがあったが謝るしかなかった。
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