第三話 INグレンダン(その1)
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験でした。念威繰者であってもフリーズすることがあるとは知りませんでした』
そんな感想を伝えてくるエルスマウの念威端子に対し、ニーナに返す言葉はなかった。
王宮についたニーナがクララに連れられて入った部屋は高級な調度が並び、中央に置かれた机には書類の山ができていた。クララは憂鬱そうに一つため息を吐くと椅子に座り書類を片付け始める。
「ちょっと待っててくださいね、いま何とか片付けますから」
その光景に疑問を覚えるニーナ。
「なあクララ」
「なんですか」
「お前未だ即位はしていないんだろ、三王家の当主とはそんなにも大変なものなのか?」
「そうですよ、私は未だ女王になったわけじゃないんです。あくまでもロンスマイア家の当主というだけだったらこんなに仕事は有りません。というか王宮に仕事部屋を作ってやるほどに有る訳がないんです、だって王じゃないんですから自分の家のことは自分の家でやればいいんですから」
その質問にガバッと顔を上げるクララ、よくぞ聞いてくれたといわんばかりに愚痴が繰り広げられる。
「でもですね。私の今の立場は『天剣』で『ロンスマイア家の当主』で、ついでに『女王代理』なんですよ。あの陛下合法的に仕事を丸投げしてくるんです。カナリスさんは『影武者』でしたから責任は陛下にあったんですが私の場合『代理』ですから権限が一緒に来てるんで責任も私になっているんですよ。ツェルニから帰ったらいきなりですよ、実際になる前の予行練習とか言ってほぼ全権押し付けてきたんですよ、それなら私が女王になったっていいじゃないですか、それなのに自分が楽するための権限だけはしっかりと確保しているんですよ、酷いと思いません?」
「わかった、わかったから落ち着け。頼むから」
その勢いにニーナもたじたじである。とにかく話題を変えようとする。
「それでフェリは何で来たんだ?」
それに対し書類から視線を上げずに答える。
「私たちが卒業してから二年後、レイフォンが卒業『できた』直後ですよ、一緒に『ご挨拶』といった感じでしたか。そうそうフェリさんときたら自分が卒業してからの一年、ツェルニにとどまっていたそうですよ」
「はぁ、なんでだ? 卒業したら出ていくのが学園都市の決まりじゃないのか」
あの二人が共に行動していることには驚かないが、入れ替わりを繰り返す都市にそんな長期間滞在を続けたことは別だ。
「それがですね、「私が乗るバスはまだ来ていない」と言い張って外来者施設に留まり続けたそうです。でレイフォンが卒業したところで一緒に出たといっていました」
なんとなくその光景が頭に浮かび思わず額を抑えるニーナ。既に卒業しているのだからどうこう言う権利などないし、ルールとしては違反していないだろうがどうだろうと正直思う。
「そんなことよりニーナはどうして
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