第三話 INグレンダン(その1)
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かわし更に懐に潜り込もうとする。それと同時に背後から焦羽蝶をニーナに突進させる。
だがニーナの動きはクララの予想を超えていた。そのまま一回転し左手の鉄鞭でクララに殴り掛かる。と同時に右手の鉄鞭で焦羽蝶を叩き落とす。
「嘘でしょう」
自らの斬撃も化錬剄による攻撃も捌かれ逆に鉄鞭の嵐を見舞われる。上下左右から叩き、撃ち、薙ぎ払い、体を回転させるままに振るわれる攻撃を防ぎ、僅かな間に反撃に打って出ようとするが全て防がれる。
アントーク流双鞭術、武踏。
それは剄技に非ず、間断無き攻撃と鉄壁の防御を行う為の流れ。相手の動きに対応した肉体の動きの制御とそれを可能とする力強い踏み込みからなる一種の『型』。
「くっ」
圧力に耐えきれなくなったクララが大きく飛び下がって距離をとる。だがそれは悪手としか言いようがない。クララ自身それを理解しているが接近戦ではニーナに一日の長があるためある程度距離を取らなければ負けは確定だからだ。
だがそれはニーナが最も得意とする剄技の射程に収まることを意味する。
活剄衝剄混合変化、雷迅。
開いた距離を一瞬で走破し鉄鞭を叩き込む。無論全力ではないが、ただで済む威力でもない。
「なんだとっ」
だがその鉄鞭があるべき抵抗に触れることはなかった。そこにクララが居ないように通り抜けたのだ。
地面を削る様に急制動をかけるといきなり増えた気配を追って周囲を見渡す。そこに複数のクララの姿があった。
外力系衝剄の化錬変化、朧蓮華。
温度差によって生み出され化錬剄に張り付けられた幻影がニーナの周囲に何人も現れる。まさかそんなことをするとは思っていなかったニーナは予想外のことに思わず対応が遅れる。と、そのまま不自然に硬直する。
外力系衝剄の化錬変化、蛇流・紫電。
いつの間にか繋げられた化錬剄の糸を通じて電気を流されたのだ。その隙に周囲全てのクララから追撃が放たれる。
「これで終わりです!」
外力系衝剄の化錬変化、風刃。
無数のクララの内実際攻撃でいるのは本体の一人だけだが化錬剄でそれぞれが放っているように見せかける。ニーナの周囲に作り出した空気の刃を殺到させる。
『クラリーベル様、やりすぎではありませんか?』
動けない相手に躊躇なく必殺の攻撃を打ち込んだ事に念威端子越しに苦言を呈されるがクララの表情は晴れない。何か違和感が拭えないのだ。慎重に相手の気配を読むと別の所から違和感を感じる。
「そこですっ」
違和感の元に衝剄を飛ばす。すると砂埃が舞う先で弾く音がする。
「どうやって避けたんですか? ニーナ」
「秘密だ。ふんっ!」
クララの疑問を無視し、自らを中心に剄の嵐を吹き荒れさせ周囲の剄を吹き飛ばす。幻影が消え去り本物のクララだけがその場に残る。
ニーナが錬金鋼を構える姿
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