第145話
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ランディは目を細めてディーターを睨んだ。
「ディーター大統領……いえ、ディーターさんと呼ばせてもらいます。それが貴方の”正義”ですか?」
そしてロイドはディーターを睨んで尋ねた。
「ああ―――その通りだ。現実の政治は奇麗事ばかりではない。あの程度の政治工作ならばむしろ手ぬるいくらいだろう。12年前、帝国がリベールに侵攻する時に起こした悲劇を君達は知っているかね?もしくは共和国が民主化する時に断行された血塗られた粛清は?」
「だ、だからと言って……!」
「おじ様達のしている事が正当化されるとでも……?」
ディーターに問いかけられたロイドはディーターを睨み、エリィは不安そうな表情で尋ねた。
「正当化は”される”ものではない。力と意志をもって”する”ものだよ。私はクロイス家の当主だが、元々、一族の使命についてはさほど熱心なわけでは無かった。そのあたりはむしろ、娘の方が詳しいくらいだからね。―――だが、始祖が夢見た新たなる”至宝”の誕生が実現可能だとわかった時………私は狂喜し、クロイス家に生まれたことに感謝したものだよ。この激動の時代を治め、”正義”を広められるだけの力を手に入れられるのだからね。」
「”正義”…………」
口元に笑みを浮かべて言ったディーターの言葉を聞いたティオは呆け
「そんな下らない事の為にこんな事を仕出かしたとはな……」
「やっぱり”正義”を盲信する奴はロクな奴がいねえな。」
ヴァイスとギュランドロスは不愉快そうな表情をし
「それでは、貴方は………自らの利益のためでも、支配欲のためでもなく………”正義”を実現するためにここまでの事をしたと……?」
ロイドは厳しい表情でディーターを睨んで尋ね
(愚かとしか言いようがないわね。)
(……処刑されて当然の男だな。)
(エリィには悪いが……あの者達が処刑しなくてもこの私が自ら処刑する!)
ルファディエルはやラグタス、メヒーシャは怒りの表情で呟き
(フン、つまんなさすぎてあくびがでてくるね!)
(ま、よくあるパターンだな、くかかかかっ!)
エルンストは不愉快そうな表情をし、ギレゼルは陽気に笑った。
「ハハ、それ以外にどんな理由があるというのだね?10年前、IBCの資産が大陸一を達成した時点で富を求める必要もなくなった。大陸全土を支配するという、ヴァイスハイト君やギュランドロス君のような時代錯誤な幻想にも興味は無い。私はね――――我慢がならないのだよ。”国家”という枠組みに囚われて無益な争いを繰り広げるこの世界に。その意味では”独立国”という形式にこだわっているわけでもない。マクダエル議長の宣言通り、無効とされても構わないのさ。――――私が理想とする”正義”が世界に遍く広
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