機動戦艦ナデシコ
1427話
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ね。……それより、治療の方をお願いします。君、アクセル代表達を怪我人のいる場所に案内してくれ」
「は!」
木連の兵士の一人が敬礼すると、俺達の前に立つ。
「こちらです」
「お願いなー」
近衛に笑みを向けられながら告げられた兵士は、頬を赤くしながら部屋を出て行く。
俺達も白鳥達に見送られながらその後を追っていき……やがて10分程度歩き、一つの部屋へと到着する。
桜咲が微かに眉を顰めたのは、俺と同じく部屋から漂ってくる血の臭いと苦痛の悲鳴が聞こえたからだろう。
桜咲も神鳴流の剣士として……そして俺と同じ人外の存在――それでも烏族とのハーフなので、俺よりは人に近いが――であるだけに、感覚も通常の人間よりも鋭い。
神楽坂も五感は鋭いらしく、微かに悲しそうな表情を浮かべていた。
そして部屋へと入ると……エリナとヤマダの2人も、俺達同様に厳しい表情を浮かべていた。
そんな中、最初に行動を起こしたのは近衛だ。
回復魔法を得意としているだけあって、こういう場面にも慣れているのだろう。
……まぁ、実働班を含めてシャドウミラーで行われている生身の訓練でエヴァに怪我をさせられた者達の治療を毎日のように行っていれば、それは慣れるか。
ぶっちゃけ、シャドウミラーの怪我人はここにいる者達よりも重傷だったりするのも珍しくはないし。
それでもこっちの方が重い雰囲気なのは、やはりあくまでも訓練のシャドウミラーとは違い、こちらは実戦……相手を殺す事を目的としているからか。
「え? ……暖かい……」
近衛の回復魔法により、見る間に怪我が回復していった木連の兵士が呟き……それを見ていた他の者達の視線を受けると、近衛は口を開く。
「全員ウチが治したるから、安心してやー」
不思議と、近衛のその言葉は怪我人達の心へと響いているのが傍から見ていても分かった。
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