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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四十八話 曙光
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らが、ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯にその事を言ったかな? 言わないだろう、貴族としての誇りがあるからね。帝国の藩屏などと言っているが、本心は今の贅沢で自侭な生活がしたい、それだけだ」
ヴァレンシュタイン司令長官の言葉に部屋が沈黙した。この中にはリヒテンラーデ侯、ゲルラッハ子爵など大貴族の一員が居る。しかし司令長官の言葉に反論しない、同感だと思っているのだろう。俺も同じ思いだ、彼らがこの帝国にいても何の価値も無い、百害有って一利も無い。滅びれば良いのだ。
「アントン、残念だがこの策は時間稼ぎにならない。おそらく卿は時間を稼ぎつつ、貴族達を宥め有利な条件を作ろうとしていたはずだ。私を暗殺する、あるいは私とローエングラム伯の間を裂く」
「……」
「だがその手が効力を発揮する前に貴族たちが暴発する。ブラウンシュバイク公もリッテンハイム侯もその暴発からは逃げられない……」
司令長官の言葉が沈黙した部屋の中に流れた。
確かに、司令長官を暗殺しても俺が代わりに貴族達を討伐するだけだ、余り意味は無い。仲違いには時間がかかるだろう。それに門閥貴族討伐に関して仲違いなど有り得るとは思えない。
「……俺の負けか?」
「元々条件が悪すぎるんだ。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯を本気で助けようとする貴族がどこにいる? 皆利用しようとしているだけだ。これで勝てたら不思議だよ、卿の所為じゃない」
呟くように“負けか”と言うフェルナー准将に対してヴァレンシュタイン司令長官は何処か怒ったような口調で慰めた。先程までの冷笑など欠片も見えない。
士官学校時代からの親友だと聞いている、どんな思いで敵味方に分かれたのだろう。もし、俺がキルヒアイスと対立する事になったらどうするだろう……。
「フェルナー准将、ブラウラー大佐、主人の事を思うなら小手先の策ではなく、我等に恭順してはどうかの」
リヒテンラーデ侯の言葉にフェルナー准将、ブラウラー大佐が顔を見合わせた。
「恭順を表明した時点で逆上した貴族達に暗殺されかねません。それに……」
「?」
フェルナー准将は途中で口ごもった。その後を続けたのはブラウラー大佐だった。
「これまで門閥貴族の雄としてその勢威を振るったわれらの主を恭順したからといって受け入れてくれましょうか? 何かにつけて疑われ、仲間を見捨てたと蔑まれるのは必定、そのような思いはさせたくはありません」
だから、生きる道を、勝ち残る道を探し続けたという事か……。
部屋を沈黙が支配した。皆、難しい顔をして黙っている。恭順すれば暗殺されかねない。運良く逃れても裏切り者と蔑まれ疑われるだろう。誇りを持って生きれば待っているのは破滅……。誇りとともに滅ぶのか、蔑まれても生きるのか……。
「疑われ
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