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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四十八話 曙光
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る我等貴族を無力化しようとし、ルドルフ大帝以来の国是をも否定しようとしている、そんなところかな」
「それだけかな、金融機関の事は言っていないか?」
「金融機関?」
「そう、貴族専用の特殊銀行、信用金庫の事だ」
ヴァレンシュタイン司令長官の言葉にフェルナー准将は不審そうな表情をしている。芝居ではないようだ、しかし、特殊銀行? 信用金庫? 一体どういうことだ?
疑問に思っているのは俺だけではないだろう。部屋に居る人間は皆不審そうな表情をしている。
「アントン、多くの貴族は貴族専用の金融機関から大金を借りている。無利子、無担保、無期限でね。この金融機関だが来年の三月末で廃止される」
「……まさか」
フェルナー准将の表情が歪んだ。そんな准将を見ながらヴァレンシュタイン司令長官が言葉を続ける。
「そう、借りたものは返さないとね。無期限というのは返さなくても良いということではない。もう直ぐ債務者たちに金融機関から通達が行くはずだ。三月末までに借金を返済せよ、返済は十一月から三月までの期間に五回に分割して支払う事、とね」
フェルナー准将もブラウラー大佐も顔面を強張らせている。ブラウラー大佐が問いかけてきた。
「司令長官閣下、貴族達はそのことを知っているのでしょうか?」
「ボルテック弁務官に金融機関の廃止とそれに伴い借金の返済を実施すると伝えました。おそらく弁務官からフェザーン商人へ、そして貴族達に伝わったはずです」
司令長官の言葉にブラウラー大佐の顔がさらに歪む。そんな大佐を見ながら司令長官が言葉を続ける。
「貴族達の殆どが大金を借りています。その金をフェザーンの投資機関に預けたり、場合によっては自分で金融機関を営む事に利用している。そしてそこから得た収入で彼らは私兵を養い、贅沢な暮らしをしているのです」
司令長官の口調は徐々に冷笑を帯びてきた。そしてフェルナー、ブラウラーの表情はさらに歪みを帯びた。
「……」
「彼らの多くは領地経営から上がる微々たる収入になど重きを置いていません。当然領地経営に関心など持っていない。どうすれば税収が上がるか、どうすれば効率的に領地経営が出来るかなど知らないでしょう」
「……貴族達の収入源を断ったわけか」
「その通りだ、アントン。返済が進むにつれて彼らの収入は減る事になる。二回も払えば今持っている兵力を減らさざるを得ない状況になるだろう。彼らにそれが受け入れられると思うかい?」
「……」
「到底無理だ、つまり年内に暴発する事になるだろう。彼らは遮二無二ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯を巻き込むに違いない」
ヴァレンシュタイン司令長官は首を振りながら自分で答えを出した。俺も同感だ、彼らに我慢など出来ないだろう。
「……」
「彼
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