暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Eipic9彼の者ら、狂人につき〜Prison Family〜
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目的地を目指して走行している。そんな数ある車両の内の1台である大型トレーラーは十数kmの速度超過で公道を進んでいた。しかし、突如として荷台のコンテナが爆発してトレーラーは大きく傾き、そのまま横転する。轟音と派手な火花を周囲に撒き散らしながら、トレーラーはすぐ前にあったトンネル内にまで滑り込んで行ってしまった。その途中に薙ぎ払った一般車は計32台。至るところから痛みに悶える声や、救急・消防隊を呼ぶための通報を行っている声が聞こえてくる。

「・・・いで・・逃げ・・・」

事故の原因となったトレーラーはトンネルのちょうど半ば付近で止まった。牽引されていたコンテナ車は本体であるトレーラーと分離していて、さらに奥で道路を塞ぐように横たわっている。炎と黒煙を上げるコンテナより幼い子供の声が漏れ聞こえてきた。そして大穴が空いている個所より小さな人影が這い出てきた。

「・・・ヴィオ・・・」

「・・・セティ・・・」

出てきたのは幼い子供2人だった。真っ先に這い出てきたのは、炎に照らされながらも美しく輝く銀色の長髪、蒼と紅の光彩異色の瞳を有した子供。その子供に引っ張り出してもらうように這い出てきたもう1人の子供は、炎に照らされてより一層の輝きを際立たせている金色の長髪、赤と翠の光彩異色の瞳を有している。2人揃ってボロボロな、まるで囚人服のような服を着ていて、さらには裸足だ。

「行こう・・・がんばって・・・」

「・・・う・・ん・・・」

トンネルの壁面にある非常口を目指して歩き出す2人の子供。銀髪の子供の両手に握られているのは2本の鎖。それぞれの鎖の先端には大きなケースが2つ繋げられている。子供が歩いてケースを引き摺るたびにゴリゴリと地面を擦る音が発せられる。

「ごほっ、こほっ、お、お待ちなさい!」

子供たちを呼び止める声がトンネル内に響き渡る。銀髪の子供が「・・・ゼータ」声の主の名前を発した。その視線の先には10代半ばと思しき少女が1人、トレーラーの運転席から降り立っていた。艶やかなストレートの黒髪が熱風で揺らめいている。白のブラウス、赤いリボン、裾付近に白のラインが1本入った黒のプリーツスカート、クリーム色のカーディガンという格好だ。

「プライソン・・・我が父上のご命令を、お前たちを輸送する任務を全うしなければ・・・! そうでなければ、娘としての私の存在価値が! IS発動、サウザンドブレス!」

ゼータと呼ばれた少女の足元に黄色に輝くテンプレートが展開された。彼女の両手に握られているのは2つの扇で、バッと勢いよく開かれた。そして「骨折させてでも連れて参ります!」ゼータは2人の子供へと突撃した。

「・・・フォルセティ。ママ・・・」

「大丈夫だよ、ヴィヴィオ。・・・ぜったい、ママのところに連れて行くから
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