第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#10
DARK BLUE MOONU〜CRUCIFY MY LOVE〜
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力』 を視てはいないが
既に異能者、“フレイムヘイズ” として認識している。
嘘を言っているとは想えないので期限付きだが協力を受諾。
マージョリー&マルコシアス→花京院
=普通の人間だと想っている。少し変わっているとは想うが。
承太郎=取りあえず一服中。
シャナ=現在どこにいるか不明。
“探索” は、思いの外難航した。
香港の街を数時間練り歩き聞き込みも(主に花京院が)
行ったが有益な情報は出てこない。
無論人喰いのバケモノがこの街のどこかに潜んでいる等と荒唐無稽な
『本当のコト』 を聞くワケにもいかず、実際はマージョリーから渡された
「写真」 を見せあくまで人捜しという体裁を取り繕っての調査である。
マルコシアスが存在の力を繰る “自在法” で紙に映し出した徒の写真。
(ジョセフの 『念写』 より精度は劣るが同じ系統の能力のようである)
ソコに映るのは、クラシックなスーツを着た一人の老紳士。
自分の知る精悍な風貌の老人とは対照的な、細身で気品と礼節に充ちたその姿。
しかしソレが、残虐な本性を覆い隠す 『擬態』 で在るコトも花京院は知っている。
かつて、己の傍らにいた異界の友人もまた、同じような風貌だったのだから。
脳裡に過ぎる彼とその最愛の従者の姿を、
一度瞳を閉じて記憶の淵に眠らせた花京院は
街路で周囲の注目を一心に集める美女の傍へと戻る。
彼女に聞き込みの結果を告げる刹那、舌打ちとあぁやっぱりなという溜息が
幾つも周りから発せられた。
「ダメですね。この老人を見たという方は一人もいませんでした。
この場所で長年商売を行っている人にも聞いてみたのですが、見た事もないそうです。
あ、コレよろしかったらどうぞ」
花京院が脇に抱えた紙袋から、白い湯気が甘く香ばしい匂いと共に立ちこめていた。
「何? コレ?」
美女は白胡麻のびっしり塗された球形の中国菓子を、
マニキュアでキレイに彩られた指先で抓みしげしげと眺める。
「芝 麻 球です。流石にお店屋さんなので、何も買わないという
ワケにはいきませんでしたので」
花京院がそう言って肩を竦めると、
「ふぅん」
美女は特に興味なさげにその出来たてで熱く膨らんだ白球を口に放り込む。
「……」
予想以上に甘く歯ごたえが変わっていて美味だったが、ソレは表情に出さないでおく。
「オ、オレにも! オレにもッ! 我が慈愛の守護天使マージョリー・ドー!!」
自分の腰でマルコシアスが分厚い皮表紙をバタバタ鳴らしてうるさいので、
「あぁッ! もう!!」
美女は紙袋の中から白と黒の球体を6つほど鷲掴みにして、
駄鳥の撒き餌をやるように本の中へとブッきらぼうに投げ捨てる
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