第百十五話
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光の腕には、さらに巨大な光の野太刀が握られていた。
「ハッ!」
それはスメラギの腕と刀とは別に、具現化された巨大な光の腕と刀。スメラギの裂帛の気合いとともに、巨大な刀が力任せに振り払われると、先程後退していた為に射程外の俺の鼻の先をかすめた。
「OSSシステムを利用したソードスキル、《テュールの隻腕》前回、お前のOSSは見せてもらったのでな。……紹介は遅れたが」
奇しくも先のレインと同じく、OSSに魔法やスキルも使っているようだが、とにかくアレがスメラギのOSS。自らとは別に巨大な腕と刀を具現化し、力任せに振り払うOSS《テュールの隻腕》――その威力と射程は、離れた距離にいたこちらの胸部を切り裂くほどだ。どのような動きか設定しなくてはならないOSSの制約上、攻撃方法は力任せに振り払うしかないようだが――それでも驚異的な射程と威力を誇る。足にダメージを負ったこの状態では、恐らくは回避もままならない。
「今度は、こちらから行かせてもらおうか」
スメラギのOSS《テュールの隻腕》の対応策を思索しきれないまま、スメラギが翼を展開しながらそううそぶいてみせる。スメラギの狙いは、OSSを見せびらかすことで、こちらの動きを制限することだろうが――分かっていても引っかかってしまい、こちらが後手に回ってしまう。
「せっ!」
こちらが日本刀《銀ノ月》を鞘に収めると、まずは牽制のウォーターカッター。それを高高度に飛翔することで避けたが、既に上空にはスメラギの姿があった。上空という死角からスメラギの野太刀が放たれるが、それを今度は翼を閉じることで落下し避けると、風魔法を纏ったクナイを数発投げ放った。いつもなら蹴りに持ち込むところだが、あいにくスメラギのソードスキル《幻月》によって負傷したままだ。
「……ほう」
高速で飛来するクナイだったが、低級魔法のウォーターカッターと相殺され、スメラギの元には届かない。しかしクナイのうち一本に仕込まれていた煙玉が、ウォーターカッターと相殺することで作動し、俺とスメラギの周囲を白い煙が充満した。お互いにお互いの居場所が分からなくなり、スメラギの感心したような声が空気を鳴らす。
「ハッ!」
というのも一瞬だけだった。再び放たれたスメラギのOSS《テュールの隻腕》により、煙ごと大地まで横一線に薙ぎ倒された。煙を風で吹き払いながらも、俺がどんな風に逃げていようが殺す必殺の一撃。
「範囲内にいれば、な」
既に俺は煙に紛れてスメラギより上空にいた。眼下の全てを薙ぎ倒すOSS《テュールの隻腕》は、上空にいる俺に届くことはなかった。そしてスメラギの飛翔を司る翼を斬り落とさんと、日本刀《銀ノ月》を引き抜くと。
「……分かっているとも」
――スメラギの眼光
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