第百十五話
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狩らんと日本刀《銀ノ月》を振り払うものの、周囲に先程斬り裂いた水流が滞空しているのに気づく。そのまま雨のようにパラパラと降り始めたかと思えば、それらは氷となって俺に襲いかかった。魔法によって生じた氷の落下速度は、こちらの日本刀《銀ノ月》を振る速度よりも速く。
「っ……!?」
瞬時に後退を選択してバックステップで離れると、今まで俺がいた大地に氷がツララとなって突き刺さり、何事もなかったように消えていく。気づかなければ今頃は――とゾッとしていると、今度は俺が今立っている大地が爆散した。驚愕とともにスメラギを見張ると、野太刀にはソードスキルの光が灯っている。
ソードスキル《浮舟》。相手を上空に浮かすカタナのソードスキルコンボの始動技であり、スメラギの強烈な一撃は、大地を爆散させたように俺に錯覚させたのだ。続いてスメラギは、素早い三連撃であるソードスキル《緋扇》に移行する。その三連撃を翼を使って体勢を整え、野太刀を足刀《半月》で蹴りつけることで衝撃を相殺し、グルリと回転して大地に着地する。
「っ……」
とはいえ巨大な野太刀と足に仕込んだ刀では、その威力の差は一目瞭然。ダメージはこちらの方が多く、着地して日本刀《銀ノ月》を鞘にしまいながら舌打ち一つ。悠然とこちらに歩いてくるスメラギは、正面に野太刀を構えて再びソードスキルの光を灯らせていた。
ソードスキルの光を放ちながら、放たれる上段からの一撃――いわゆる『面』の一撃に、俺は抜刀術を側面からズラそうとした瞬間、足を切り裂かれた感触が伝わってきた。
「――――ッ!」
確かにスメラギの一撃は上段からの面だった。ただし刃とダメージは足にあり、追撃態勢に入ったスメラギからとにかく逃れようと、全力で空に飛翔していく。もちろんスメラギも追撃に翼を展開するものの、そこは風魔法を伴ったクナイで牽制しておく。
スメラギが先に放ったのは、ソードスキル《幻月》。上段か下段か、ランダムに斬撃を生じさせる単発ソードスキルだ。あのわざとらしい上段からの一撃はフェイクだったらしく、まんまと引っかかり下段の斬撃に足がやられてしまう。蹴りはおろか地上戦も怪しいその怪我を圧しつつ、スメラギにさらにクナイを投げ放った。
「…………」
しかし、クナイはスメラギの元に届くことはなく、スメラギの周囲の大地に落下してしまう。落下したクナイをよく見てみれば、その鉄に冷気がまとわりついている――と気づいた瞬間、スメラギの前方に魔法陣が生じていた。氷魔法最大の攻撃魔法と言われても納得の威圧感を誇るその魔法に、俺は日本刀《銀ノ月》を抜き放った。まさか斬り裂けるとは思っていないが――
「せやっ!」
鞘にアタッチメントを装着しながら、魔法陣に向けて刀身を発射。先程のクナイと同様に、ス
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