第百十五話
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。しかしてその中にシャムロックの首長たるセブンの姿は見えず、どうやらセブンを始めとする本隊は、既に迷宮区に向かったらしい。小回りなら人数の少ない俺たちに分があると思っていたが、どうやらシャムロックを甘く見すぎていたようだ。
「マナー違反だが、お前たちをここから通すわけにはいかない。セブンがフロアボスを攻略するまでな」
そう言い放つと、スメラギは野太刀を引き抜きこちらに向ける。セブンの為に、絶対に引く気はないと感じさせるその気迫に、俺は一歩前に出た。
「この浮遊城の情報は、俺たちの方が詳しいと思ってたけどな」
「ああ。SAO帰還者の情報には感謝しているよ」
この厄介な迷宮区の入口の構造は、随分と様変わりしていたとはいえ、根本的にはかつての浮遊城と同じだった。故に俺たちは情報面ではリードしていると思っていたが、やはりスメラギたちシャムロックも、SAO帰還者からその情報を手に入れていたらしく。
「なら……その情報は、そんなトラップを力づくで突破した馬鹿のことはあったか?」
「……何? ……あのインプたちは、どこだ?」
こちらからの意味深な問いに対して、スメラギはハッとしてこちらのメンバーに目をやった。こちらのメンバーは、確かにいつも通りのメンバーだったが――ユウキたち、スリーピング・ナイツとアスナは既にいなかった。俺たちがいくらシャムロックと戦おうが、ユウキたちがフロアボスに挑戦出来なければ、まるで意味はないというのに――
「っ――おい、セブンたちを追え!」
「――いや、こっから先は通行止めだぜ」
こちらの考えに感づいたらしいスメラギが、急ぎシャムロックの他のメンバーに指示を出すものの、既に遅かった。目にも止まらぬ速さでキリトが迷宮区の入口の前に立ちはだかり、かの聖剣エクスキャリバーを片手に見栄を切ってみせた。このゲームのプレイヤーならば知らぬ者はいないその聖剣に、シャムロックのプレイヤーたちは揃って息を呑んだ。
「お前らがここを通さないんじゃない。俺たちがここを通さないんだ……スメラギ」
「貴様――」
かつてこの浮遊城アインクラッドでは、数ある入口の中で一つだけが正解――という形式であり、ハズレの場合には強力なモンスターが中ボスとして現れる、というペナルティーがあった……のだが。その中ボスをペナルティーと知らずに倒してしまい、正解やハズレの入口といった情報は、この層が終わってから判明したということがあった。そのあまりかっこいいとは言えない情報は、ペナルティーの中ボスを倒してしまった、当の本人と当時の攻略組の一部しか知る由はない。
つまり、常に最前線で攻略してきたキリトにアスナしか、知り得ない情報において。スリーピング・ナイツたちは、既に偽の入口から本物の出口へ
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