新暦78年
memory:24 続・とある日の八神家?
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最低限でいいって理由にはならないんです!」
自分で? ゴム? ヘアバンド?
「……」
なんとなく、予想がついてきたような気がする。
「この店やよ」
「ここは私たちの行きつけなんですよ」
「テレビ以外で初めて見ました」
「……」
それは、似た系統の店であれば普通の人なら半年に一度くらいはいかざるを得ない類の場所だった。
髪を整え、身だしなみを整えてくれる店……理髪店、それはわかる。
だけどこの店はおかしいと思うんだ。
全面ガラス張りで店内が良く見え、テレビの中でしか見たことのないような調度品が並んでいる。
それに、随分と若々しい店員たちが、同じように若々しい客とにこやかに談笑しながら作業しているではないか。
行ったことはないけど、床屋っていうのは…言い方が悪いけど、もっと薄暗い雰囲気で、むっつりとしたおじさんやおばさんがそそくさと髪を切ってくれる場所だったはずだ。
いや、わかってるさ。
ここは女性が来る美容院というやつだろう。
最近では男性も来るのだと聞いている。
リオもそんなことを言っていたような気がする。
「……固まってるですぅ」
「そ、そこまで嫌なのか」
「男の子には入りにくいと思うけど……」
「悠莉? どうしたんですか?」
「……嫌、って訳じゃないんだけど、何というかこういうところには来たことがないからね」
「嫌じゃないんだろ?」
「それじゃ黙って切られてこーーい!」
姉さんに背を押されて美容院の扉を潜った。
美容院から出てしばらくして。
「やっぱり、スッキリしてた方がええな」
「そうですね。悠莉くんは元がいいから、余計に映えますね」
「にしても、ちょっと整えるだけでこんなに変わるとは……」
と、年上三人が口々に言っている。
ヴィータの言う通り、少し髪の毛を弄ってもらっただけだ。
剥いて毛先を整える、ただそれだけで、他はあまり切られていない。
あとは整髪料で全体を整えて終了した。
「そんなに変わってるかな? 少し軽くなったくらいにしか感じられないけど」
「そんなことないですよ。更にカッコよくなってます」
「実感はあんまりないけど……ありがと、イクス。さて、私のはこれで終わりなんでしょ? だったら早速買い物を始めよう」
「そやな。そんじゃ行こか」
姉さんたち先導の下、とあるデパート内にあるカジュアルショップに連れて来られた。
なんでも、つい最近オープンしたばかりらしく、姉さんたちもここに入るのは初めてらしい。
先ほどから女性陣はあれこれと服を見回っているので、サクッと自分の買い物を終わらせた私は、独りベンチに座っていた。
しっかし
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