第76話命の重さ
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
レは・・・」
オレはこの右の拳が貫いたあの四人のことを忘れていた。顔も名前も思い出せるのは、ギリギリでクラディールだけだ。オレはーーー
「オレはこの手で殺してしまった相手を忘れてしまえる人間なんです」
いや、クソッタレかな。どちらにしろ、オレの犯した罪は本当に重いものだ。人を四人殺害したことと、それを忘れていたこと。オレは英雄なんかじゃない。《笑う棺桶》に引けをとらない大罪人だーーーそう考えていたら、安岐さんに横から手をかけられて、オレの頭は肩に倒されていた。
「神鳴君、ごめんね。カウンセリングしてあげるなんて偉そうなこと言ったけど、私にはキミの抱えた重荷を取り除くことも、一緒に背負ってあげることも出来ない」
安岐さんがオレの罪を一緒に背負うなんてダメだ。罪を背負うのはオレだけで十分なんだーーー
「私は《ソードアート・オンライン》をやったことないから・・・キミの使った『殺した』って言葉の重さは分かれない。でも、これだけは分かるよ。キミがそうした、そうしなきゃならなかったのは・・・」
オレがあの四人を殺したのは、殺さなきゃならなかったのはーーー
「誰かを助けるためなんでしょ?」
オレはあの時、未来やキリトを助けるためにあの四人を殺した。
「医療でもね、命を選ばなきゃならない場面があるの。もちろん、正当な理由があれば殺してもいいってことじゃないよ。でも、その結果助かった命のことを考える権利は、関わった人みんなにある。キミにもある。キミは自分が助けた命を思い浮かべることで、自分を助ける権利があるんだよ」
自分を助ける権利。オレが動かなかったら、未来もキリトも死んでた。でもーーー
「でも・・・でもオレは、殺してしまった奴のことを忘れちまったんだ!!オレは復讐だと片付けて、ただ自己満足してただけなんだ!!重荷を、義務を放り捨てたんだ!!だから!!!救われる権利なんか・・・!!!」
救われる権利なんかない。そう言おうとした直前に安岐さんはオレを突然抱きしめた。
「本当に忘れてしまったら、そんなに苦しんだりしないよ」
「ッ!!!」
オレはーーー本当の意味であの四人のことを忘れてなかったのか?この苦しみは痛みはーーー本当の意味で忘れていたのなら、こんな痛みは感じなかったのか?
「キミはちゃんと覚えてる。思い出す時がきたら、全部思い出す。だからね、その時は一緒に思い出さなきゃダメだよ・・・キミが守り、助けた人だっているんだってことを」
オレがあのラフコフ討伐戦で動かなかったら、未来は殺されてた。オレがクラディールのPKに気づかなかったら、キリトは殺されてた。あいつが血の繋がった双子の弟だと知らずに、キリトが死んでたのかもしれない。オレは命を奪った
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ