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もう一人の八神
新暦78年
memory:22 お風呂
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side 悠莉-

「ということがあって、新たに八神家の一員になったわけで」

「悠莉?」

「なんでもない」

イクスが八神姓をもらって約一か月程が経とうとしていた。
最初の頃はほぼ初対面の姉さんたちにどこかよそよそし態度で接していたのだが、今ではそんなことはあまり見かけなくなった。
歓迎会の際に姉さんとイクスの間に何かあったみたいなんだげど誰も教えてくれなかった。

「現実逃避はこれくらいにして、何でイクスがここにいんのさ」

「? 私も汗をかいたので悠莉と一緒にシャワーを浴びようと……」

「ちょい待ち」

頭を抱える私の目の前にいるのは一糸纏わぬ姿……ではなく、タオルで最低限隠しているイクス。
とは言っても隠れていない個所は見えるわけで、正直目のやり場に困る。
形は違うとはいえ、八神家に来てすぐの時も私の入浴中に何の躊躇いもなく入ってきた。
その時にもさんざん言ったはずなんだけど……なんでだろうね、モラルというか常識というか何というか…私に対しても羞恥心を持ってほしいのに。

運動の後だから汗をかいてシャワーを浴びたいと思うのは別にいい、だけど何で一緒という言葉が付くんだ。
あのとき先に使っててとイクスは確かに言ったはずなのに……いや、待て、まさかイクスにとっての先に使ってての解釈は……

「イクス…まさかとは思うけどさっきの先に使っててというのは……」

「私も一緒に入るので先に行っててくださいと言う意味ですが?」

あたかも当たり前のように答えるイクスにやっぱりそう言う意味かともう一度頭を抱える。
それを想定していなかったとはいえ、どうしてここまで羞恥心が薄いんだ? と苦悩する。
とはいえ、

「いや、まあ、もういろいろ諦めたんだけどね」

見慣れている、といったら語弊があるが、昔、元の世界にいたころのこと。
姉弟子がお師匠や私の前でもバスタオル巻いただけの格好でうろちょろしてたから変に慣れてしまったのか。
ただ目のやり場に困るだけであって、別にイクスの体を見て発情するわけではないから別にもういいんだと思う。
姉弟子のようにイクスにもちゃんと凹凸があれば違ったのかもしれないけど。

「……悠莉、変なこと考えていませんか」

「イクスの気のせいでしょ」

「……」

否定しても疑いの眼差しを向けられる。
図星なのでこれ以上は言わないし言えない。

「さて、私はもう浴び終わってるから先に上がらせてもらうよ」

「待ってください。悠莉…その、ですね……髪を洗ってもらえませんか?」

「……はい? もう髪くらい自分で洗えるはずでしょうに。シャマルから聞いたよ、一緒に入ってたときできてたって」

「ですが……」

チラチラと上目遣いで訴えて
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