新暦78年
memory:21 目覚め
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どね」
「そう、ですね。しかし、この時代にまだ真正古代ベルカが残っていたのですね」
「ま、姉さんこと八神はやては今代の夜天の書の所持者だしね」
イクスヴェリアはなるほどと納得する。
「ま、家族になるとするなら、さっき言ったように私以外全員真正古代ベルカだから、教会の方はそれほど言ってこないはず。他がダメだって言ってくるのなら強引な手を使ってでも合意させるさ」
涼しい顔でとんでもないことを言った悠莉に唖然とするイクスヴェリア。
「本当ならそんな手を使わずに済めばいいんだけど、もしもの時を想定してなきゃいけないしね。まあ、すんなりと私たちの意見が通れば平和なんだけどね」
「そう、ですね。ところで強引な手、というのは……?」
「暗示やらマインドコントロールの類だよ」
「でも、可能なんですか? 相手はそういったものへの対策などしてるのでは?」
「確かにね。この世界のものに対してならあるかもね。でも、その対策ができないこの世界とは全く異なる未知の手法・術式を用いた強力なものだったら?」
「それは……」
「普通は無理だろうさ、偶然が重ならない限りはね。(それにそれらを使ってもダメで、どうしようもない時には私の中にあるもう一つの力と奇跡の行使を使えば、まだチャンスを作れるしね)」
そう言って、悠莉はイクスを見たのだが、イクスは俯いていた。
その顔は何処か不安そうなものだった。
「……もしかして心配?」
「は…はい。悠莉なら、と思うのですがどうしても」
「そっか。でも大丈夫」
「あっ……」
イクスヴェリアは悠莉の腕の中に包まれた。
心配させないようにと頑張って取り繕うとしたが簡単に見破られた。
不安に押しつぶされそうになる中、悠莉に包まれたことで未だ続いていた震えがなくなり、次第に落ち着いてきた。
「……やっぱり、悠莉は温かいですね。あのときも…初めて出会ったときもこうやって抱きしめてくれました」
「確かにね。でもあの時はイクスが勝手に勘違いして泣きそうになったからだろ」
「あ、あんな言い回しをされたら誰だって勘違いします!」
「あはは、ごめんごめん」
「んっ…んんー……いくす? …ゆーり?」
少し騒がしくなったためか、今まで寝ていたヴィヴィオが目を覚ました。
「(……ヴィヴィオがいたことすっかり忘れてた)やあ、お目覚めかな、聖王陛下?」
「むぅ…陛下って呼ばないでよぅ…………って、ユーリ! なんでユーリがここにいるの!?」
「まずはおはよう」
「あ、うん、おはよう……って、質問に答えてよ!」
「私がイクスの友達だから。お昼頃、スバルさん伝いにイクスが目覚めたって聞いたんだけど、用事があったからす
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