新暦78年
memory:21 目覚め
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「クスッ…はい、おはようございます悠莉」
どちらからというわけでもなく、笑いあった。
「イクス、改めて聞くけど調子はどう? 頭痛や目眩がするとか、どこか違和感があるとか」
「大丈夫です、今まで目覚めた中で一番気持ちいいのです」
「それは良かった」
と、悠莉は奇跡と能力の消滅が上手くいってるとわかり、ホッとした。
「ところで…教会の人たちは目覚めについて何か聞いてきた?」
「いえ、今のところはまだですが? ……大丈夫ですよ、約束も…悠莉と交わした言葉も全部覚えてますから心配しないでください」
そう悠莉の手を取るイクスヴェリア。
その表情は恥ずかしさを隠すように嬉しげな笑顔だった。
「そっか。あっ、イクスはこれからどうしたい?」
「これから、ですか?」
「そう、これから。今のイクスはマリアージュを生成することのないただの女の子。とはいえ冥王だったことには変わりない。そうなれば管理局や聖王教会の人間が保護だの何だの言ってくるだろうから。いろいろ言われる前にイクスの口から聞きたいなと思ってね」
「それは……」
顔を俯かせるイクスヴェリア。
時折、チラチラと悠莉の顔を見て目が合えば、また俯く。
「あー…もしかして、言いにくいことだった? だったら無理しなくていいから」
「い、いえ! そういうことではなくて……えっと、ですからその……怒りませんか?」
よくわからないといった表情で首をかしげる悠莉。
イクスヴェリアは頻りに悠莉の様子を伺いながらも口を開いた。
「もし迷惑でなければずっと一緒にいてもいいでしょうか?」
「それって……告白?」
ボフッ!?
そんな音が聞こえるかのようにイクスヴェリアの顔が一気に上気した。
「こ、告白ではありません! ……ただ、今まで王という孤高な立場にありましたから……」
―――だからもう…独りは嫌です。
「……なるほど。でもそれなら私じゃなくてもスバルさんやヴィヴィオがいるでしょ?」
「……悠莉もスバルもヴィヴィオも友達で、いつでも会えるとわかってます。でも私は悠莉と離れたくないです」
訪れる静寂。
イクスヴェリアの顔はやはり赤い。
今回は自分がそうなっていることに気付いてないようだ。
しかしそれは恋する乙女というより、もっと別の物だと悠莉は思った。
「(うん、でもやっぱり告白にしか聞こえないよな。だけど言わないことが優しさだろうし)じゃあさ、私の家族にならない?」
「えっ? ……家族、ですか?」
「そ、家族。私以外全員真正古代ベルカだからイクスにとってはいい環境なんじゃって思うんだ。……とはいっても決めるのはイクスだし、姉さんたち聞かずに独断っていうわけにはいかないけ
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