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Three Roses
第十一話 葬儀と即位その一

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                 第十一話  葬儀と即位 
 王の葬儀、新王の即位の日程は順調に進められていた。それには王家の者は全て参列することになっていた。それもどちらも。
 それは当然ながらマリー達もだ、マリーはそのことを伝えられて静かに言った。
「人が死のうとも動いていくのですね」
「はい」
 ロドネイ公はマリーのすぐ後ろから答えた。
「それが人の世です」
「最後の審判の時までですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「死んだ者はそれで時を終えますが」
「世はですね」
「そのまま動いていきます」
「そうなのですね」
「そして残った者は為すべきものをしなければなりません」
「その者のですね」
「はい、ですからマリー様もです」
 ここでマリーにこうも言うのだった。
「為すべきことを為されて下さい」
「わかりました」
 マリーはロドネイ公のその言葉に確かな声で答えた。
「ではその様に」
「もう大丈夫ですね」
 弟であった王の死からだ、完全に立ち直ったかというのだ。
「そうですね」
「ご安心下さい」
 確かな微笑みでだ、マリーはロドネイ公に答えた。
「そのことも」
「それではです」
「葬儀の式も測位の式もですね」
「どちらも出られて下さい」
「セーラ、そしてマリアと共に」
「そうされて下さい」
「ロドネイ公の言うままに。それでなのですが」
 ここでマリーはあらためてだ、ロドネイ公に問うた。
「セーラとマリアは」
「お二人は今は用意をされています」
「葬儀と測位の二つの式、それにですね」
「それぞれのご成婚の」
 そちらのこともというのだ。
「用意をされています」
「そうですか」
「はい、ですから」
「セーラとマリアはですね」
「今はおられないです」
 今この場にというのだ。
「そうなっています」
「わかりました」
「ただ」
 ここでだ、ロドネイ公はこうも言った。
「我々はいます」
「ロドネイ公とですね」
「はい、私達はです」
 見れば大司教のデューダー卿、キャスリング卿もいる。マリーの側近であり頼みとする彼等は。
「マリー様の為にいます」
「ですから」
 キャスリング卿もマリーに話す。
「ご安心下さい」
「例え何があろうとも」
「左様です」
「そしてマリー様」
 グラッドソン大司教も言ってきた。
「先程のお話ですが」
「はい、人の生死ですね」
「そのことですが」 
 神に仕える者として己の主に話す。
「それを逃れることは出来ません」
「人にはですね」
「そうです、ですから」
「悲しんでもですね」
「嘆かれてもです」
 それでもというのだ。
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