Side Story
少女怪盗と仮面の神父 26
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スエルナの法律は未成年を飼い殺しにしてる。
数多の民は数多の実りと共に在り?
耕す土壌も無く満足な道具も得られない者の手で、結び捧げられる実が有るとでも言うのか。
本気で一般民を虚仮にしてるとしか思えない法律の在り方を認めても、シャムロックの悪行を正当化したくなる現実にしか行き着かないが……
(……道具?)
『数多の技は世代を繋ぐ絆の証』
技。技術。世代を越えて受け継がれる、人間が生きる為の手段。
言葉や文字といった知識や知恵も、物作りの腕や材料も全て、形の有無を超越した一種の……道具。
手段を活かせば何でもできる。生きるも死ぬも、生かすも殺すも、与えるも奪うも。
「計画と行動」に「実力と精神」が見合えば、なんだって可能になってしまう。
だから、法が定めた。
他種族の牙や共食いを避け、人間種族を護る為に。やってはいけない事、やらなければならない事。人間の人間らしい有り様。人間が人間として生きる為の役割を。
法律は「栄光」……即ち「知性有する人間の形」を守る鎧であり、盾。
(法は人間の理性。「人間種族の」盾……)
『人間は所詮、人間以上にも、人間以下にもなれん』
アルスエルナの民は秩序に守られた法下の住人。
対してシャムロックは法に背いた犯罪者。
『鎧を抜け出た山猫の爪は「誰」を引っ掻いた?』
「アーレスト様!」
「!!」
突然。
ミートリッテの足先、アーレストの真横に三つの人影が現れた。
思索に没頭していたミートリッテは大きな男声に驚き、喉まで出かかった疑問を再び飲み込んでしまう。
「……アーレスト様。今直ぐ、その方を我々にお返しください。このままでは貴方にまであらぬ嫌疑が掛けられてしまいます」
一人目が前方へ飛び出してアーレストの進路を塞ぐと、二人目・三人目が素早く後方左右に展開し、ジリジリと距離を詰めて来た。顔も服装も見えない所為で、不気味な圧を感じる。
ただならぬ緊張感に頬を強張らせたミートリッテの頭上で、神父が苦笑う。
「困りましたね。私は、この娘と彼女を会わせたいだけなのですが」
「今は必要ありません。彼女も主も望んでいない。貴方ならお分かりになるでしょう? その方の真っ直ぐな気性に我々の世界は残酷過ぎる。幸い、まだ引き返せます。どうかその方を……主達を苦しめないでいただきたい!」
「他ならぬこの娘の人生です。ミートリッテさんにも選ぶ権利を与えて然るべきではありませんか?」
「選ぶ時が今ではないと申し上げているのです! 貴方の遣り方では誰も救われない!」
「今でなければ「いつ」です? イオーネさん達を捕まえた後、貴方方は確実に証拠を抹消するでしょう。無用な争いを避ける意味では正しい判断です。しかし、そうなっ
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