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もう一人の八神
新暦78年
memory:18 起こるは奇跡
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っ……なに今の?
だけどこの感覚、もしかして私のアレがなにかに反応して発動した?

「ユーリ? どうかした?」

「……ううん、なんでもない」

……今は置いておくか。

「はじめまして、私は八神悠莉です。……う〜ん、急だったからなに言えばいいかわからないけど」

スバルさんってばそんなにバツの悪そうな顔しなくても……

「ま、自分自身のこととかでいかな? 実は私、四年前に並行世界からこの世界に迷い混んだ次元漂流者なんだよ。……―――」

姉さんやスバルさん、機動六課の人たちとの出会いのことを話した。

それから話が一段落つくと、なにか飲み物を買ってくるねと言い残して部屋を出て行ってしまった。

…………うん、この部屋の周囲には誰もいないな。

「イクスヴェリア、本当は目覚めてるんでしょ?」

「………いつから気づいてたのですか」

「うん、やっぱりだ」

現在の技術ではどうしようもなく、いつ目覚めるかもわからなないはずの少女が見つめ返してきた。

「結構あとの方だよ。だからある程度話をまとめて一区切りつけたんだよ」

「そうだったのですか…でもどうして私は……」

「あー…そのことなんだけどね」

やっぱりアレのせいなんだろうなぁ、きっと。
こっちに来てからは一度もなかったのにまさかこのタイミングに起こるなんて予想外過ぎるよ、まったく。

「実は私は生い立ちにいろいろあって、少し特殊な力があるんだ」

「力、ですか?」

「私の父さんと母さんがそれぞれ響界種(アロザイド)、簡単に言えば妖精と人間のハーフだったんだよ」

「アロ、ザイドですか?」

やっぱりこの世界には存在しない言葉だからわからないか、元の世界でも馴染みのない言葉だったからほんの一部にしか知られていなかったしね。

響界種(アロザイド)ってのは人と人でない者の間に生まれ落ちた者たちの総称。話を戻すけど、力ってのは妖精であるおばあちゃんから引き継がれたもの、『奇跡を起こす程度の能力』」

「奇跡を起こす力……」

「両親が妖精の響界種同士だったからリャーナの力も発揮しあちゃって、未だに私に受け継がれた力自体が不安定で曖昧なものだからね〜。私自身未だ完全には制御できないんだよ」

「あの…よろしいですか?」

なんだろう?

「リャーナとはいったいなんでしょうか。それに奇跡というのはどのくらいの規模のものなのですか?」

リャーナと奇跡の規模か、奇跡の規模はいろいろあるからなぁ……

「リャーナっていうのは妖精に愛されし者の別名。妖精に愛された人はその人が持つ才能や力を開花、上昇させるんだ。だから両親は互いにリャーナとなって半妖精とはいえ強力な力が私の中にあるんだ」
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