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歌集「春雪花」
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 君ぞ恋し

  逢いたき心の

   切なさは

 雲隠れにし

   月は知るまじ



 彼に会いたくて…全てを放り出しても会いに行きたくなってしまう…。

 そんな心の切なさを、一体誰に打ち明ければ良いのか…。

 月は雨雲に隠れ、どこにあるのかも分からない…。

 そんな月が、私のこの想いを知る由もない…。

 それと同じように…彼も、私のこの心を知る由もないのだ…。



 恋しことの

  伝うることも

   憚るる

 侘しきわれそ

    雨音を聞き



 彼が好き…それを伝えることなぞ出来もせず…。

 人が人を好きになる…当たり前のことが、私には許されようもない…。

 この愛しいと想う心を、彼に告げることさえ憚らねばならない私は…なぜこの世に在らねばならない…?

 心は彷徨い…拠り所もなく…ただ侘しく大地に注ぐ雨の音を聞くだけ…。


 彼は今…どうしているだろう…。




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