108話 炎
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来ていればこんなことにはならなかったんだろうかと思うよ!後悔なんてらしくないのに、この旅は後悔だらけだ!
「お前さんたち!こっちだよ!」
とりあえずそっちに行かせるかと洞窟側のダークウルフェンどもを斬り伏せたその時、聞こえたのはメディさんの声。あっちは安全……?いや、わからないけど!少なくとも前方位から襲われるよりマシ、それから後ろにメディさんも守れるならもっといい、しかも陛下や姫をお守りしやすいし……!
「行くよ!」
同じ決断を下したであろうエルトの声に、私たちは突っ込んだ。目くらましのイオを放ったゼシカをエルトが守り、ヤンガスが陛下を抱えて走る。ククールと姫様が行ったのを確認して私は今度こそ誰にも遠慮せずに放った真空波で数十匹ぐらい吹っ飛ばしてから急いだ。家に結構ダメージがあったかもしれないけど、それは許して欲しい、切実に。
・・・・
「うおっ」
バーンッ!派手な音が洞窟……というか祠……に響いた。思いっきり重いものを硬いものにぶつけたような音。
……えっと。この場にはメディさん、陛下、姫にそれからいつものメンバーが揃ってるよね。うん、急いでゼシカに魔力を回復してもらってるぐらいでみんな大きな怪我もない、と。かすり傷ぐらい今更誰も気にしないし。陛下や姫は別だけど、幸い、ないみたいでよかった。
「エルトォ……現実逃避してないで、助けてくれない……?」
メディさんが呼んでくれたこの場所には結界が張ってあるみたいで、悪しき者は入ってこれないとか。狂ったダークウルフェンとか悪の塊みたいなものだから安全だよね。うん、安全……ここは安全……。
……。…………。
「なんでトウカ弾かれてんのっ?!」
「私が聞きたいんだけど!」
「しかも脱色してるし!」
「それは気にするほど珍しくないでしょ!」
らんらんと紫の目を光らせてトウカは叫ぶ。逆の立場なら同じことをしてるからこそ僕も叫ぶ。悪しき存在なの、トウカ?!見慣れた僕にはなんともないけど普通の人の感性ならもしかしてトウカ、邪悪だったりするの?!いやいや、トウカって生粋の騎士だよね、人助けしまくってるよね、打算もないよねトウカ!息を吸うようにやってるよね、なんでなんだ!
体ごと弾かれているし、結構トウカも焦ってる。後ろで聞こえた風切り音から結構片付けて来てくれたってのは分かったけれど、あの数を始末したなんてトウカの本気だろうと流石に思えない。
「おぉ……トウカさん、まずは深呼吸して落ち着いて。貴女は悪しき者じゃありませんよ。少し心が高ぶっているから結界が勘違いしてしまっただけよ」
少しびっくりしていたメディさんは優しく微笑み、結界越しにトウカの手を握る。言われたとおりに深呼吸したトウカがゆっくり目を閉じ、心
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