第三十四話 あちこちでその二
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「それとお墓参りしたり」
「おやさまの」
「それと歴代の大教会長さんの」
奥華のというのです。
「そういうこともしてます」
「何かかなり真面目な子ね」
隣にいた一緒に商店街に買い物に出た同じ寮生の娘が言ってきました。
「この子って」
「いえ、そんなことは」
私は驚いて彼女に返しました。
「ないけれど」
「不真面目な子なの?」
「いい加減な子なのよ」
阿波野君のその本質をお話しました。
「適当でね」
「けれど真面目じゃないとね」
「日曜にわざわざおぢばに帰ってっていうのね」
「ひのきしんはしないでしょ」
「神殿に参拝したり」
「そういうことしないでしょ」
「そう言われるとね」
私にしてもです。
「ましてお墓参りとか」
「こんな子いないわよ」
こう阿波野君を見つつ言うのでした。
「それこそね」
「真面目なのかしら」
首を傾げさせつつです、私は阿波野君を見てです。
あらためてです、彼女に言いました。
「全然そうは見えないけれど」
「人は外見によらないっていうでしょ」
「それはそうだけれど」
中には中身が外見にはっきり出ている人もいますけれど。冗談抜きでその筋の人達ってそうし人ばかりだと思います。
「それでっていうのね」
「というかこの子そんなにね」
彼女も阿波野君を見ながら言いました。
「悪くはないでしょ」
「悪いって」
「そっちの筋の人とか詐欺師とか」
「それはもう犯罪者でしょ」
「そうした子じゃないでしょ」
「犯罪者とかね」
それこそです。
「問題外じゃない」
「そんな子じゃないでしょ」
「ええ、そんな悪いことはね」
私の知る限りではですけれど。
「しないわよ」
「はい、しないですよ」
阿波野君の方から言ってきました、とてもにこにことした明るい声で。
「法律に触れることは」
「じゃあおみちの教えに反することは?」
「そちらも心掛けてます」
彼女の言葉にも同じ態度で返しました。
「まだ勉強仕立てですけれど」
「偉いわ、それならね」
友達は今度は私のお顔を見て言いました。
「いい子よ」
「確かに悪いことはしないけれど」
「というか何処か悪いところあるの?」
逆に私に聞き返してきました。
「明るくて可愛い感じしますし」
「可愛いかしら」
「ええ、性格もね」
「いやあ、そんなこと言われると照れますね」
相変わらずの態度です、阿波野君は。
「僕ただ暇だからやってるだけですし」
「時間があったらひのきしんとかね」
友達はそれこそと言うのでした。
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