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魔法少女リリカルなのは -Second Transmigration-
第7話 父の思い
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俺はそれを聞いたとき、思考は一瞬止まってしまった。
話を聞くと、父さんは昔から武道が優秀で、川神流の継承者に相応しい人物だった。それを妬む者もいれば、尊敬する者まで様々にいた。
かく言う宗一郎も、父さんが次期当主だと信じて疑わなかった。いや……疑いようがなかった。
そんなある日、父さんの一言で状況が一変した。
突如、父さんが家を出ると言ってきたのだ。


「勿論、ワシ達は猛反対した。理由を聞いても、奴は決して話そうとしなかった。ただ一言、『初めて自分でやりたいことを見つけた』と言ってな……ワシ達は止めだが、最終的には妻、お前の祖母が大激怒してのう……家を出て行った限りは二度と敷居を跨ぐな、と言って勘当したんじゃよ」


そんなことが……


「……本当は気付いておったのかもしれん。じゃが、ワシは天城と川神流を守るために、勘当した琉聖を特別扱いすることはできんかった。……お前の母が、お前を連れてくるまではな」

「え……?」

「お前が赤ん坊の時じゃ……ある日、愛莉殿が赤ん坊を連れてやってきてのぅ。『顔だけでも見てやって欲しい』と言ってきたのじゃよ。幸いにも妻も亡くなり、他の連中もおらんかったから、赤ん坊のお前を抱き上げさせて貰ったわい」


その表情は懐かしそうで、とても優しそうであった。


「その時に気付いたんじゃ。どれだけの事をして息子を勘当しようとも、ワシにとってはお主や琉聖は家族じゃ。……ワシがあの時にそれを気付いていれば、お主達に苦労を掛けさせる事はなかったじゃろう。……本当に、すまなかった」


宗一郎は深々と頭を下げた。
この人は、ずっと悩んでいたのだ。自身の立場に、そのせいで父さんに謝罪できないもどかしさに。そして勘当してしまった事で俺達は不幸になってしまったのではないか、という罪悪感に。
あぁ、なんて……


(なんて……不器用な人だ)


あの父にしてこの祖父あり、といったところだろうか。自分の気持ちをうまく伝えられないのは、この家系の遺伝なのかもしれない。……俺も人のことは言えないが。


「……やめてください。俺はあなたを恨んでませんし、父さん達もそんなの望んでないと思いますから。話してくれて、ありがとうございました」

「……そうか……すまんが、お主達の話を聞かせてくれぬか?どんな事があったか、なにより、琉聖はお主にとってどんな父親だったか」

「……はい」


その後は俺が宗一郎に今までどんな生活をしていたか、どんな事があったかを話した。
優しかった母さんと、どんな時も俺達を心配してくれた父さん、そして、高町家のみんな。
それを聞き終えると、宗一郎は涙ながらに満足げに頷いて見せた。幸せだった事に安堵し、よき父親となっていた父さ
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