第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#9
DARK BLUE MOON 〜Sapphired Moment〜
[8/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
一眉だにしたコトはないマージョリーは、生まれて初めてその対象をしげしげと眺めた。
(……それにコイツ……よく見ると……結構……)
緩やかなエメラルドの光芒を背景に、脳裡に浮かぶ中性的な美男子の風貌。
上品な質感の、光の加減によって微かに赤味がかって見える薄茶色の髪。
見る者スベテに安らぎを与えるような、澄み切った琥珀の瞳。
細い長身の躰に密 着した、裾の長い特徴的な学生服。
耳元で揺れる果実を模したイヤリングから足下の革靴まで、
その全てが完璧に洗練されていて非の打ち所は一切ない。
(……)
脇の相方が、今までにない心中で選定者を吟味しているのには気づかず
その脇に佇む長年の相棒は、
「取りあえず “コイツ” は除外しとくぜ。
他にもカモがいっぱいいるのに、わざわざイモ引く必要はねーからな」
そう言って俺の自在法もナマったねぇ〜等とボヤきつつ
該当情報削除の操作系自在法を、開いた口からフッと吐息のように吹いた。
その刹那。
「グォゴオォォォォォォォ―――――――――ッッッッ!!??」
バゴンッ、と開いた口が、突如頭上から捻りを加えて
撃ち落とされた尖鋭な肘鉄によって強烈に閉じさせられる。
「な、なにしやがる!? 我が暴虐の格 闘 士
マージョリー・ドー!!」
羊皮紙の口をバタバタと鳴らして、群青色の火の粉と共に抗議の声をあげる
被契約者に向け、その契約者は、
「ちょっと、気に入ったわ。コイツ。なかなか面白そうじゃない」
まるで獲物を見つけた肉食獣のような不敵な笑みを
ルージュの引かれた口元に浮かべ、そう言った。
その瞳に宿る色は紅世の徒を討滅する時と全く同じ、
否、ソレ以上の苛烈さと危険さが在った。
「お、おい!」
そのタダならぬ様子から永年の相棒を諫めようとするマルコシアスを
マージョリーは 『本』 を乱暴に閉じるコトによって強制的に黙らせ、
自身は黒いレザーベルトを肩にかけ、颯爽と立ち上がる。
“フレイムヘイズ” と 『スタンド使い』
その禁断の邂逅まで、残された時はごく僅か。
【3】
海から吹き付ける風が、中性的な美貌を携える長身の美男子の前髪を揺らす。
近代化され自分の住む国、街と似たような風景とは言っても、
ソコに存在する長い歴史の醸し出す独特の雰囲気というのは
旅行者である自分には否応なく感じられるモノで、
花京院 典明は流れる人々を眺めながら空条 承太郎を待つ間
その異国の情緒に静かに浸っていた。
ジョセフはエジプトへの船をチャーターするのに奔走し、
その間自分達は完全に間が空いてしまったので暇つぶしがてら
折角なので香港の街にくり出すコトにした。
一
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ