第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#9
DARK BLUE MOON 〜Sapphired Moment〜
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に詐欺師の二人組だが
無論両者はそんなコト等気にせず選定を続けた。
そんな中。
「あぁ? ンンン〜??? 何だァ〜? こいつァ?」
言葉遣いはともかく、「仕事」 はキッチリ迅速に行う自分の相方が、
突如滅多にあげるコトのない困惑した声をあげたので脇の美女は双眸を開き
その表情へ微かに険を寄せた。
「どうかしたの?」
「ン〜? まぁ、別にどうってコトもねーんだが、視るか? 一応」
「お願い」
眉目秀麗の美女がそう言うと、分厚い本の中が一瞬微かに開き、
ソコから群青色の火の粉が一片、微かに靡いた。
ソレと同時に彼女の脳裡に浮かび上がる、一人の人間の映 像
裾の長い、バレルコートのような学生服を着た、十代半ばの少年。
「“コレ” が、どうかしたの?」
美しい風貌をしているが、別に取り立ててどうというコトはない、普通の人間だ。
確かに人間にしては少々、美し過ぎる、が。
己の存在の力の多寡に拠って外貌を変えるコトの出来る紅世の徒とは違って、余計に。
「変なヤツだろ? 女のクセに男のカッコなんかしやがって」
(女?)
マージョリーはもう一度双眸を閉じてその姿を確認するが
「バカね。コレは男よ」
と、にべもなくマルコシアスに告げた。
「アァ〜、マジかよ!?」
頓狂な声をあげる喋る本に向かい美女は言う。
「たまにいるのよ。東洋の人間、特に日本人にはね」
「ヘェ〜、コレで男ねぇ〜。クソったれの神の悪ふざけにしか見えねーな。
腰回りなんかお前サンより細いんじゃあねーか?
ギャアッハッハッハッハグゴォッ!」
分厚い羊皮紙の表面から、鋭い拳撃の摩擦で起こった白煙が上がる。
「それで、コレが一体どうしたってワケ?」
男にしては美しすぎると言っても、
そんな疑念に執着を持つ者ではないというコトは知っている
マージョリーは、永年の相方に問う。
「いやぁよう、本当に大したコトじゃあねーんだが、
コイツ俺の自在法の “通り” が悪ぃんだよ。
ホレ、こいつの映像にだけ妙な “ノイズ” が走るだろ?
そこがチョイとばかり引っかかってな」
マージョリーは再度瞳を閉じた。
(……)
確かに、そうだ。
自在法の “選定” による該当者は通常、己の存在の力の属性に従い
群青色の光に包まれるイメージで脳裡へと現れる。
が、何故か件のこの人物だけは、その周囲が静謐なる翡翠の燐光で包まれている。
もしかしたらソレがバリアの様な役割を果たして、
自在法の効果を阻害しているのかもしれない。
確かに、気にはなる。
“徒” ではないが、 普通の人間と割り切ってしまうには、余りにも奇妙な現象だ。
今まで “選定” の 「画像」 など単に一瞥するだけで 「画質」 等
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