第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#9
DARK BLUE MOON 〜Sapphired Moment〜
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なる。
その澄んだ琥珀色の瞳で見つめられると、
ほんの些細な嘘や欺きすらも後ろめたいコトのように感じられて。
「……」
なのでその美女、マージョリー・ドーは己の想うがまま、
本来の存在あるがままに手っ取り早く、最も直接的な手段に撃って出る。
「ま、いいわ。とりあえず、一緒に来て」
そう言うが早いか青年の腕を取り、というより掴み
そのまま街路へと共に(引きずるように)歩き出す。
「え? あ、あの、な、何ですか? いきなり?」
終始穏やかで見る者に安らぎを与える微笑を絶やさなかった美男子が、
そこで初めて狼狽の表情を見せた。
「いいから」
その当然の問いに対し、彼の細い二の腕を引っ掴む美女はたった一言そう返す。
「あ、あの、困ります。ボクはあそこで人と待ち合わせが」
次第次第に遠くなっていく約束の場所を振り返りながら、
しかし女性の腕を無碍に振り払うわけにもいかないまま、
花京院は焦ったような口調で美女に告げる。
「いいから 『そんなこと』 より重要なコトがあるのよ」
彼の言葉には耳を貸さず、美女はその外見からは想像もつかないような強い力で
細身の青年を連れだし一方的に香港の街路を徒行した。
「じゅ、重要なコトって、わっ、ちょっ」
その言葉を最後に、胸元の開いた豪奢なタイトスーツ姿の美女と
特殊なデザインの学生服姿の美男子は、麗らかな残り香を靡かせながら
共に異国の喧噪の中へと消えていく。
傍から見れば、年上の女が若い男をリードする一組の恋人同士に、
ある日突然空から蝸 牛 の大群が降ってきて、
ソレを視たスベテの者がカタツムリ化するという
荒唐無稽な話を信じる位無理すれば見えないコトもない。
強引に組まれた腕に戸惑いながら。
そしてその細腕に押し付けられる豊かな膨らみに赧顔しながら。
花京院 典明は、自分の知らない 『もうひとつの世界』 へと
半ば無理矢理連れ込まれた。
長い二日間の始まり。
蒼き魔狼が胎動する破滅への序曲。
二人の 『スタンド使い』 と “フレイムヘイズ”
その大いなる 『運命』 が、今ここに幕を開ける。
←To Be Continued……
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