外伝〜”銀”の涙〜
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からです。代々の”銀”の中でも卓越した力を持った父でしたが………病魔からは逃げられませんでした。
さりとて抗うこともせず、延命のための手術も受けず、唯一完治させる可能性がある”聖女”達―――ティアさんやペテレーネさんに頼る事もせず………ある日、私を呼んで命じました。
自分を殺して”銀”を継ぐようにと。
―――できませんでした。およそ、父の言う事に逆らうことのなかった私でしたがそれだけは何故かできませんでした。
………私は初めて恐くなりました。あれだけ父が丹念に仕上げた”銀”が出来損ないだったのではないかと。死にゆく父を失望させたのではないかと。
………懊悩する私に父はふと苦笑して言いました。
『―――それもまたお前だ。お前の銀はお前が決めるがいい』
………そして一月後、父は世を去りました。
そして私は”銀”となりました。父の持っていたコネクションを継ぎ、黒衣と内功で体型を誤魔化し………父の腕には及びませんでしたが滞りなく仕事を再開できました。
『お前の銀はお前が決めるがいい』
父の言葉の意味もわからぬまま、ただ淡々と流されるようにして………
―――そして2年が過ぎ、私は黒月と長期契約を結びました。カルバードの西端………貿易都市クロスベルの覇権奪取に協力するという契約を。
クロスベルに到着した私は戦いに備え、街の下見をする最中、歓楽街のとある劇場に入りました。
そこでは丁度、公開練習というものが行われていて………そこから先はロイドさんもご存知の通りです。
「………そっか………その時に、イリアさんに目を付けられたってわけだな?」
リーシャの話を聞き終えたロイドは溜息を吐いた後尋ねた。
「ふふ、最初は理由を付けて何とか入団を断ろうとしたんです。でもイリアさんは凄く強引で………とうとう根負けして入る事になってしまいました。体力と偽装には自信がありましたし、いい隠れ蓑になると思ったんです。………予想以上に練習がハードで”銀”との両立が大変だった上、そのせいでルファディエルさんに気付かれて正体がバレてしまい、脅迫され………その結果時折ロイドさん達を手助けし………最終的に”黒月”を裏切り、”ラギール商会”に雇われる形となりましたけど。」
「……その節は本当に申し訳ないと思っているよ。―――ありがとう、リーシャ。聞かせてくれて嬉しかった。」
微笑みながら答えたリーシャの説明を聞いたロイドは申し訳なさそうな表情をした後静かな笑みを浮かべて言った。
「ふふ、聞いていて面白い話では無かったと思いますけど………でもこれが―――父と祖先から
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