外伝〜ワジの”聖痕”〜
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答えた。
「自分で言うなって………でも”印”って、ひょっとしてワジが戦闘中にたまに見せることがある……?」
「ああ………”聖痕”―――それがこの”印”の名前さ。魂に刻み込まれた刻印………力の源泉にして忌むべきもの。これが僕に顕れたのは今から7年くらい前のことさ。」
「7年前………」
「別にD∴G教団とは全然関係のない話だけど………暇つぶしに聞くかい?」
「そうだな………差し支えなかったら、是非。考えてみれば、ワジの過去は殆んど知らないも同然だし……性格や行動パターンは大体わかってるつもりだけどね。」
ワジの言葉に頷いたロイドは苦笑し
「ふふ………いいだろう。」
ワジは静かな笑みを浮かべて過去を語り出した。
―――僕の生まれ故郷はゼムリア大陸のとある辺境でね。外界との接触を禁じられたいわば”隠れ里”的な場所だった。
その里では、女神や異世界の女神達とは異なる太古の”神”を祀っていてね………僕は幼い頃から”神”の声を聞く”巫子”の役割を担ってきた。
勿論、自発的にじゃなく、物心ついた頃に勝手に選ばれてね。”神”の正体が、得体の知れない太古の呪具であるのは知ってたから正直、馬鹿馬鹿しくて仕方なかったよ。下らない役割から解放されて自由になりたいとずっと思っていた。
……そのうち里でおかしな事が起こり始めてね。里人が一人、また一人と原因不明の昏睡状態に陥ったんだ。僕が探ったところ、”神”が暴走して、地脈を通じて精気を吸い取り始めた事がわかって……僕は封じる事を主張したけど、里の長老たちはそれを認めず、生贄を奉げようとまで言いだしたんだ。
まあ実際、恐ろしい力を持った呪具で封じることも不可能だったんだけど………―――そんな時に外界から教会の騎士たちがやってきたんだ。
――彼らと接触した僕は”神”が古代遺物の一種だと知り……それた絶対的な存在でない事を知って思い切った行動に出た。
その蒼い石版状の”神”を崖から落として破壊しようとしたんだ。太古の呪いから里を解放し、自由になりたい―――ただその一心で。
しかし”神”の抵抗は凄まじく、僕の力を根こそぎ奪い取ろうとした。騎士たちの助けも間に合わず、僕の生命が尽きようとしたその時―――その”刻印”は僕の胸に現れた。
―――僕の”聖典”は逆に”神”の力を根こそぎ奪い……”神”はただの古ぼけた石版と化し、粉々に砕け散った。そして僕は自由を手に入れ―――めでたく里を追放されたわけさ。
里人たちが崇めていた”神”を”殺した”大罪人としてね。
「…………そんな事が………………………」
ワジ
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