外伝〜オルランドの”業”〜
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考えると正直、厳しすぎる戦力差だった。だがこちらには奇襲と地形を利用できる強みがあった。
そして俺は………日頃から補給のために立ち寄っていた村を利用した。奇襲で陽動を行い、片方の中隊を村に引き寄せて………崖崩れを起こすことで分断し、もう片方を一気に潰した。
そして村外れの納屋を爆破することで敵の混乱を誘い………村から退却するルートを読んでそこに全火力を集中し、別ルートで退却したと思われる”西風の妖精”と数名以外は撃破した。
………村人の犠牲は一人も出さないつもりだった。だが、戦場における見込みなんて流動的で当てにならねぇもんだ。
結局、撃破するポイントは50アージュほど村寄りになって………一軒の雑貨屋を巻き添えにした。
………多分、猟兵仲間以外で初めてダチと言えるヤツだった。任務がない時は、たまに酒場で一緒に飲んで騒いでナンパして……いずれ街に出て、自分の店を持つのが夢だって言ってた。その夢も、命も、全て俺が奪った。
わああっ!ランディ兄、やるじゃん!
クク―――合格だ、ランドルフ。”西風の妖精”達を逃がしたとはいえ、十分な結果だ。この”試し”をもってお前は次の”闘神”に決まった。兄貴の跡を継げるよう、これからも精進するがよい。
「………………………」
ランディの過去を聞こえたロイドは複雑そうな表情で黙り込み
(クク、当時のランディがどんな男だったか見たかったねえ?)
エルンストは口元に笑みを浮かべて呟いた。
「……しまらねぇ話だろ?別に、そいつがショックで戦場から足を洗ったわけじゃねぇ。猟兵としての生き方にウンザリしたわけでもねぇ。俺はただ……わからなくなっちまったんだ。いつか自分の店を持ちたいっていうあいつのささやかな夢と……いずれ”闘神”となって死ぬまで戦い続ける俺の人生の……果たしてどちらに意味があったのか。」
「………ランディ………」
「多分それが……俺が背負った”業”なんだろう。オルランドの一族に生まれながら修羅になりきれず、中途半端に戦場に生きてきた俺自身のな。」
「…………………」
ランディが呟いた言葉を聞いたロイドは黙り込み
「ランディは、その”業”を断ち切るつもりなんだな……?あの叔父さんを乗り越えることで。」
そして真剣な表情で尋ねた。
「………まあな。親父が死んだ今、それ以外に俺が”業”を断ち切る方法はない。今の俺自身の力と足場をもってあの化物を乗り越えられたら………その時にやっと、3年前のケリを付けられそうな気がするんだ。これ以上―――ただ流されることなくな。そして……俺はオルランドが受け継ぐ”闘神”ではなく……新たな異名でや
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