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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-42
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も、私たちは勝手にやるだけだから。それにこれが終わったときに生きてても、待ってるのは地獄だからね。死んだ方がましだよ」


 重い空気が一夏たちにのしかかる。これが本物の戦い。勝たねば死ぬだけの、命をかけた戦い。そんなこと体験したことない彼らは、理解することに時間がかかった。しかし、教師陣に代表候補生はまとう雰囲気を変えていた。


「あ、そうそう。アメリカの国家代表、呼んどいてね。ナターシャ・ファイルスが戦いたがってたから」
「彼女は生きているのか!? そうか、やはり……」
「あと、ちーちゃんの暮桜、万全に調整しておいたから。私との戦いにもけりつけようね」
「……ああ」


 ○


「これでいいの?」
「ああ、というより、最初からこうすればよかったんだよ」


 通話を切った束は、近くにいた蓮に結果を伝えた。
 変に回り道していた。最初から自分たちが望んだやり方でやればよかったのだ。そうすれば、中国を落とすこともなかったし、IS委員会本部を襲撃させることもなかった。アフリカで変に裏工作する必要もなかったんだ。


 蓮はクロエにメンバーの招集をかけるように言った。それから椅子に体を預けるように深く座り、もたれる。その後ろでは束はうつむいたままである。


「……不安か?」
「……とっても不安。何があるか分からない。もしかしたら私かれんくんのどっちかが死ぬかもしれない。クーちゃんが死ぬかもしれない。みんな死ぬかもしれない……。ううん、分かってるの。私が間違ってたんだよね」
「束……」


 先ほどまで電話で飄々としていたのは、どうやら彼女の演技であった。内心は不安で押しつぶされそうで怖かったのだ。
 それを見た蓮は、立ち上がって束の元まで近づくと彼女の手を握った。震える右手で右手を取った。


「……っ! れんくん……」
「俺だって怖いんだ。いつだって戦うことは怖い。それはみんな同じなんだ。それでも前に進むために戦う。それがどんなに自己満足であったって、我儘だって、関係ない」
「……ふふっ、ありがとね、れんくん」


 彼女の笑顔には何回でも見惚れてしまう。それほどに魅力的であった。






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