第26話『魔術VS.蹴球』
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目とニヤけ口だけを塗られた、シンプルで不気味な仮面を被っていた。
「な、何か喋ったらどうなのよ?!」
緋翼の言うことを無視しているのか、仮面の人物は喋ろうとしなかった。
この行動も不気味さを際立たせている。緋翼は完全に焦っていた。
無理もない。この外見は誰が見ても怖いと思えるものなのだ。
「逃げるが勝ち!」
緋翼は振り返って逃げ始めた。正体がわからない相手と闘うなんて愚策中の愚策。当然の決断だ。
だが追いかけてくる仮面の速さは並ではなかった。
なんと運動神経のいい緋翼のスピードとほぼ同等、気を抜けばすぐに追いつかれてしまうだろう。
後ろをちらりと見やれば、にんまりとした仮面が追いかけてきている。もはやホラー映画のワンシーンだ。
「コイツ何部?!」
緋翼は疑問を叫びにして出した。
何せ足の速さには自信があり、陸上部にも引けを取らないほどだと自負はしている。だからこそ、こんな訳のわからない格好をしている奴にスピードで負けるはずがないと思っていた。
それなのに、ピッチリと追いかけてくる仮面の正体とは一体誰なのだ。怖すぎる。
「こっち来んなー!!」
緋翼の叫びは虚しく廊下に木霊し、そのまま2人の恐怖の追いかけっこはしばらく続いたのだった。
*
「お前は同じクラスの・・・」
「莉奈で〜す! よろしく〜」
一方伸太郎は、晴登VS.大地と同じような状況になっていた。
相手は同じクラスにいて、確か水泳部ということは覚えている。右腕に抱えているビート板、頭に被っている水泳帽とゴーグルが、何よりもそれを示す。
「水着にジャージだけかよ、無用心な…」
「えー何? 何か言った?」
伸太郎は莉奈の格好に向かって小さく呟いた。
何せ今の彼女の格好は、競技用と思われるどこぞの有名な会社の印が書かれているシンプルな水着に、部活のジャージを羽織っているだけなのだから。
薄着で怪我をしやすいというのも有るが、とりあえず色んな意味で危ない格好だ。
「(こいつは確か三浦とよく絡んでたな…? あんま怪我させると悪いよな…)」
「フッフッフ、どうしたどうした? 来ないのならこっちから行くよ!」
「はぁ、メンド…」
こちらが手加減しようとしているのに、相手はやる気満々だ。ため息をつきながら、伸太郎は向かってくる莉奈を待ち構えた。
*
「はっくしょい!」
「…!? だ、大丈夫か?」
晴登が急にくしゃみを放つ。
ずっと考え事をしていた大地はそれに驚かされ、無意識の内に晴登を心配した。
「あ、あぁ大丈夫だ。噂でもされてんのかな?」
「随分普通
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