第9話 忘却の美女たち
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受け取った雷画は、立場を分からせるために殺気を送る。
「ヒッ!?」
「・・・・・・・・・ん?」
殺気を受けた美女たちは悲鳴を上げて怯えだす。
この事に雷画だけでは無く、その他全員も首を傾げた。
雷画の送った殺気は確かに一般人ならば怯えはするが、目の前の女たちの素性は既に調べが付いていたので怯えることに不可解さを感じたからだ。
しかも体を震わして、抱き合う様に怯え続ける始末。これは如何いう事なのかと困惑していると、意外にも現在進行形で怯え続けている1人から口火が切られた。
「す、すいませんが、私達が何かしてしまったのでしょうか?いえそれよりも、み、皆さんは私が誰かご存じありませんか・・・?」
『・・・・・・・・・・・・は?』
思わぬ発言に、全員で思考が停止したのであった。
−Interlude−
二日後。
藤村邸の一室にて、石蕗和成が雷画に報告していた。
「検査結果ですが・・・・・・間違いなく記憶喪失の様ですね」
「・・・・・・・・・」
雷画は面倒な事になったと嘆息した。
そもそも彼女たちを事件後に藤村邸に運んだのは、自分達を嗅ぎまわるドイツ軍人達に気付いたためだった。
記憶操作もあるし、取りあえず連れて来させた結果がこれである。
「ややこしい事になったのぉ?」
「はい。当初は釘を刺した上でフランク中将殿に大きな貸しを作らせる手筈でしたが、このまま帰られる訳にもいかなくなりましたから」
「記憶はあくまでも消滅では無いのじゃな?」
「はい。あくまでも一時的なモノであり、時間を掛けるなどすれば完治する程度であると言うのが、葵紋病院の医師からの報告です」
和成の説明を聞きながら手渡された報告書をめくっていく雷画。
(心因性の記憶喪失・・・。つまりあの異質なサーヴァントとの遭遇時の恐怖によるショック症状か)
そして一度溜息をついてから報告書を返した。
「記憶が戻ってからではないと記憶消去は出来んが、スカサハの方は何か言っておったか?」
「今は様子見に徹していた方が良いと仰られていました」
「ということはまた・・・・・・士郎に負担を掛ける事になるのぉ」
そう、隣の塀を越えた孫同然の少年に、心の中で謝るのだった。
−Interlude−
そんな杞憂が当たったかどうかは分からないが、食卓の席にて百代が不機嫌そうに士郎に聞く。
「士郎、あの2人は誰だ?」
「急遽家で暫く預かる事になった、リザ・ブリンカーさんとフィーネ・ベルクマンさんだ。色々と事情があるから、あまり詮索しないでやってくれよ?」
「・・・・・・良いんですか大河さん?」
「仕
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