もしもトウカが剣士さんじゃなかったら4
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でも私、戦わないといけないから。ありがとうククール。ククールも私と一緒に戦ってくれたら守らなくていいよ。私はこいつらを撲殺しないと気が休まらない。
私は力がない。ちょっとずつ付いてきたかなって思うけど、うろこの盾を装備しながら戦えるほど腕力がないんだ。皮の盾ならいけるかな、でもあっても煩わしいだけだろうし。
つまり私は何で補ってるかって、手数。馬乗りになればダメージは増すし、トゲを突き刺せればさらにいい。
「ーーーーーっ!!!!」
息を殺してククールの懐から飛び出す。拳を構え、飛び出してきたスライムベスを空中でぶん殴る。うまいことその拳はスライムベスを貫通して、ぼたぼたぼたっと形を留めれなくなったらしい液体が地面に垂れた。口元がにいっと、釣りあがるのがわかる。
幸いというか、なんというか、それを見たのはククールじゃなくてヤンガスだった。わかりやすく目を逸らされたけど、頭は構わない。戦えればそれでいい。殺せれば言うことなし。
「……あはっ」
一撃で倒せるのはいいことだ。次の魔物を殺す時間が出来たってことだから。でも悪いこともあるよね、私の闘志が少しも満たされないし、胸の中で燃え上がった炎が消えないんだから。
目を光らせて迫ってくるスライムナイトが三匹。めいめい構えた剣が私の目を潰さないことだけは注意して、……それだけ。
あとはどこを斬られようと関係ない、刃を向けられて体が恐怖に支配され、怖すぎて、歯がガチガチと鳴る。なのに、なのに、私は、……愉快だ!愉快でたまらない!
腕が切り裂かれるのも構わずスライムナイトの本体を渾身の力でぶちゅりと踏み砕き、首根っこを掴んだ小さな体を地面に叩きつけ、踏みつける。後ろからほかのスライムナイトに斬られてもどうでもいい。反抗されようがその体に何回でも、何回でも、何度も何度も殴っていればいつか動かなくなるんだから。
スライムナイトもスライムベスも、血が赤くないから見た目が派手にならなくていいよね。派手なのは目立つから嫌いなんだ。魔物の血塗れで街に入っただけなのに悲鳴をあげられるのって嫌だもの。殺人鬼と間違えられてもね……違うよ。
私、怖がりで臆病者で軟弱だから人間に恨みがあったって殺れないし。ちょっと殴ったら魔物が死んじゃっただけなのに大袈裟な!だいたい刃物も使ってないのにさ。
声を上げて笑うのはなるべくしない。目立っちゃうのは嫌なんだ。でもね、でもね。私、我慢したって百点満点の笑顔はやめられない。引っ込めたくても戻らないもの。殴り殺すってやっぱり正解だ。だってちっとも怖くないんだよ。
「……猟奇的」
「ククール。あれはまだまだ可愛いお姿だよ。あれは愛犬と戯れてるってところ、だから」
「ハッ、だからお前達遠巻きなのか?」
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