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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四十五話 勅令の波紋
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れば、内乱終結後、フリードリヒ四世崩御の訃報が届くかもしれない。その後に続くのはエルウィン・ヨーゼフの即位とリヒテンラーデ侯とヴァレンシュタイン元帥の戦いだろう。
フリードリヒ四世の宣言が終わった。私はもう一度トリューニヒトにまき戻すように頼み、またフリードリヒ四世の宣言を見始める。
「随分熱心だな、レベロ、ところでもう一つとは?」
ホアンが冷やかしてきたが気にしている余裕は無かった。
「広く会議を興し、万機宜しく公議輿論に決すべしか……、これは議会政治を取り入れる、そういう事なのかな……」
少々心許ない口調になった。躊躇いがちにトリューニヒトとホアンを見ると二人とも私を見ていた。
「君もそう見たか」
「……」
トリューニヒトが答えホアンは難しい顔をして考え込んでいる。二人とも驚いた様子はない、同じことを考えていたのだろうか?
「当たり前の事だが、誰が帝国の実権を握るかを見極める必要があるだろうな。それによっては帝国との和平が実現するかもしれない」
トリューニヒトがフリードリヒ四世を見ながら呟くように言葉を出した。
帝国暦 487年10月15日 フェザーン アドリアン・ルビンスキー
スクリーンにはフリードリヒ四世が映っている。五つの誓文か、帝国だけではない、同盟にも大きな波紋を及ぼしそうだ。同盟は気付くだろうか? フリードリヒ四世はルドルフ的な物を切り捨てようとしている。
その代表的なものが門閥貴族だ。この改革で帝国では内乱が生じるのは間違いないだろう。驕り高ぶった貴族達に耐えられるとは思えない。上手い所を突くものだ。
同盟はどう出るだろう? 大規模な出兵は無理だろう。しかし内乱を長引かせるために嫌がらせ程度の出兵は有り得るのではないだろうか。いや、むしろその方向で同盟に働きかけるべきだろう。帝国の混乱が長引くほど同盟にとっては利が有るのだ、説得は可能だ。
帝国はルドルフ的な物を切り捨てようとしている、そのことに同盟が気付けば帝国との共存が可能だと考えるかもしれない。同盟の戦力が枯渇している今、共存は望む所だろう。しかし、ボルテックの知らせによればヴァレンシュタインは同盟との共存は考えていない。そしてフェザーンの存続さえ認めていない。
新銀河帝国か……。百五十年続いた戦争を終わらせる、そのために帝国に改革を施す……。
「改革者、ヴァレンシュタインですか、彼は生きながらえ、改革を成し遂げる事が出来るでしょうか?」
ルパートの言葉は何処か冷笑するかのような色合いを持っていた。私の視線を感じたのだろう、ルパートは嘲笑の色を強めて言葉を吐く。
「美しい理想が一人の人間の死で潰える事は歴史上何度も有りました。今回はどうなるやら」
「補佐官は彼の改革が失敗すると
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