もしもトウカが敵対したら
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脳漿がそこらを汚してるし生きてはないみたいだなぁ。ああ悲しい。エルトには血の色が良く似合うのに。親友だったのにごめんね。
「さて、ククールだけだ」
びくりと彼は体を揺らした。味方を生き返らせようともせず、反撃の気すら薄いククール。なんでだろう?優しくって愚かなククールだけど、ちゃんと度胸もあるはずなのになぁ。
「どう、して」
「愚問だね」
「……殺すのか?」
そりゃあ殺すんだけど。まぁ、こんな無害なククールならほっといてもいいかもね。でもあの三人を生き返らせたら困るから……。先にやることがあるな。
「ベギラゴン」
対象からククールを外して、火葬。まぁさっきまで仲間だったわけだし。死体を消すって意味の方が大きいけど。さてと、泣きそうな顔をしてても綺麗な顔だね、ククール。死にたい?生きたい?どんな気持ち?私を憎めばいいのにね。頭が追いついてないのかな?
「……」
上から下までククールを眺めた。ほかのみんなは殺してしまったし、焼いたし、反撃してきたからじっくりなんて見れなかった。首のチョーカーを毟り取って、なんとなくククールの前に立つ。
怯えている?違う。悲しんでる?違う。なら、ククールは何を考えているんだろう。
「全部忘れさせてあげようか。そしたら生かしてあげる」
頭の中で考えていることと、私は違う行動をした。歩み寄って、せめて一撃であの世に送ってあげるつもりだったのに。泣きそうなククールは、私の頬のかすり傷を慣れたように治して、そして、そして。
「忘れるのだけはごめんだぜ……」
あぁ、最後の慈悲は君が君の手で潰したわけか。何故か泣きそうなのに笑ったククールは、破邪の魔法を発動しようとしたのか、それともそれは神の裁きたるグランドクロスだったのか。
どちらにせよ、何か害そうとするのなら、させる前に殺してしまう他ない。悲しいけど。
剣を鋭く、その一撃は一番冴え渡って。
赤い服に赤い傷、銀髪を赤に染めてククールは死んだ。
・・・・
・・・
・・
・
「……何があったか?あまり言いたくはないんだがな」
あまりにも遅い帰りに痺れを切らしたトロデ王によって生き返ったククールは苦い顔で俯いた。激しい炎が何もかも……ククールの死体以外……を燃やし尽くし、骨の欠片も見つからなかった為、もはや真実はククールの中にしかなかった。
「ドルマゲスだよ。ドルマゲスをトウカが倒した。そして本気を出したドルマゲスに俺達はやられたってわけさ。回復魔法が使える俺は最後まで生き延びたが、ザオリクを使えないようにみんな、焼かれちまったんだ」
何故か、口ついて出たのは嘘だった。ひどい嘘だったが、本当のことを言ったところで何になる?ひとりで彼女を追
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