もしもトウカが敵対したら
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光が、私を襲う。瞬間、意識は上書きされていった。
私は私だ。私はトウカ、性別は女、年齢は恐らく十八。それには違いなかったけど、決定的に考え方が変わったように思う。そしてそれを当たり前だとも考えれるようになった。
「嬉しいことに」。私は、これで、義理からの忠誠ではなく本当の主への忠誠を誓えるというわけだ。しかもこの体はかなり具合が良いらしい。ドルマゲスみたいな才能のない、しかも限界のきた男の身体より若くて鍛え上げた伸びしろのある体の方がいいに決まってるだろう?
偉大なる魔神ラプソーン様には、あんな男より私の方がいいに決まってる。
あぁ、杖が。おいたわしや、こんな杖に封じられて、私を通してでしか動けないなんて。なんてことだろう。この世界を支配し、本当の幸福の中でみんな生きるべきだ。いや、ラプソーン様の為には喜んで死ぬべきでもあるけれど。
なら、残りの賢者も私が殺せばいいだけのこと。幸い、ラプソーン様の魔力があるから私も魔法が使えるようになったみたいだ。もちろん、私自身に魔力は……あるにはあるみたいだけど使えない。偉大なるそのお力を借りることで私は……目の前の人間を殺せる。
ま、私はお力を借りなくてもいけると思うんだけど……慢心はいけないね。
エルト、ヤンガス、ゼシカ、ククール。思い入れはある。別れだと思うと悲しい。二度と会えないなんて思ったら悲しくって。でも仕方がないこと。どうせここで見逃したって対峙するだけなんだから。無駄なことをしたって余計悲しくなるだけ。
嗚呼、嗚呼。悲しいな。悲しすぎるよ。別れっていうのは……悲しいものなんだ。
私はトウカ。ラプソーン様が見間違えられたのはアーノルド。アーノルドという男は何者なんだろう。あんなに気になっておられたんだから、きっと悲しい別れをしたんだろうな。別れを悲しいと思うラプソーン様は心のない、助けてもくれない神ではない。理解の深い偉大な方なんだ。
「あははっ」
杖を左手に持つ。右手はいつも通り剣を構える。向けるのは、一番後ろにいて、どうしてか、私を凝視して硬直しているククール。どうしてだろうね、彼は私にそんなに思い入れでもあったんだろうか?やっぱりツンツンしてるところもあったけど優しくって愚かだから?
彼とゼシカは敏いから、私が敵対したことにはもう気づいてるかな?あぁエルト、信じられないような顔をして。十年一緒にいた親友だろう、今は別れを悲しもうよ。
「別れって悲しいよね!」
ククールに剣を向け、突撃。なんとか躱したククールは、震える手で杖を構えていたけれど、私に攻撃するなんて考えもつかないみたい。哀れだなぁ、愚かだなぁ、バギクロスを撃てばいいのに!悲しいなぁ!
「とう、か?」
「回復役には最初に死ん
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