もしもトウカが剣士さんじゃなかったら3
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いわけじゃないけど……なりたくないわけじゃない、けれど。
どうだろう、なんとなく笑い合いたいような気もする。でもこんな恐ろしいお方に目をつけられたくはなかった、正直。ヤンガスが、肩を少し震わせたのに僕は心の中で全力で同意した。何より、怖い。
・・・・
「……」
「……」
なんで私はこの強面のヤンガスと向かい合っているんだろう。エルトが助けた元山賊、私と話した事はほぼ、ない。悪く思われてはいないけど、良くも思われてないはず。それともエルトからの言伝でもあるんだろうか。
ルイネロさんのご好意で泊まらせてもらうことになり、エルトはそれを陛下に報告しに行っちゃったし、ユリマさんもルイネロさんも階下だし、ちょっと……誰か助けて。
彼は悪い人だったけど、多分今は悪い人じゃないみたいだけど、顔が怖い。本当に怖い。顔にある傷跡とか本当に怖い。目つきも怖い。髭が怖い。なにより人間が怖い。ひきこもり生活が長くて対人恐怖症めいたことになってる私にはハードルが高いよ……。
えっと、私、なんかおかしいのかな。服は着替えたし、汚れも落とした。グローブの手入れもしたし……。
「あんたは」
「……何かな」
やっと話しかけてくれたから、呪縛如く固まっていた体をなんとか動かせた。やっと息ができる。あんたって言われるの、今世で初めてだ。ほら、ひきこもりでも一応使用人とかと接するけど、みんな私の事はお坊ちゃまって言うし。だからって敬語を強要なんてしたくないけどさ。新鮮だ。
「正直最初は兄貴と比べてなんて頼りない野郎なんだと思ってた」
「うん」
ご名答としか言えない。今だって頼りないやつでしょう。
「だが、トラペッタに来てから変わった。……だから教えてくれ」
「……うん?」
何を?
「なんで兄貴はあんたと敬語で話すのか、あんたは何者なのか……何も知らない自分より年下のあんたが、怖いんだ、仲間のことをそんな目で見たくねぇ」
……えっと。この人は誠実、だね。
「……」
え、お話終わり?質問に答えろって?……コミュニケーション能力の低い私にそれを頼むなんてなかなか無謀な人だなぁ。にしても、怖い、ね……。私のどこが怖いんだろう。
武器を使って戦うヤンガスの方が私から見たら怖いんだけどな。直接殴り殺さないと怖いよね。まぁ鈍器か。鈍器で殴るのはちょっとは理解できる。私には持ち上げることも出来そうにないけどね。できるなら最初からそっちを選んでる。
今は撲殺の方がいいけどね。
「ボクはトウカ=モノトリア。近衛兵のエルトから見たら自国の貴族だから敬語なんだよ」
「……貴族……」
なんでそんなに信じてない目なんだろう。もやし体型に剣も持てない心の貧弱さ、怯え。
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