機動戦艦ナデシコ
1422話
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、客観的に見ると残念ながらそうじゃない。
高杉が息を切らしながら再び構えるのを一瞥し、次に審判の秋山の方へと視線を向ける。
止めるなら今のうちだと、そんな思いを込めて秋山へと視線を向けたのだが……戻ってきたのは何も言わずにただ俺の方を見返す秋山という光景。
高杉の動きとしては非常に単純な動きしかしてないのだが、それでも俺と相対している時点でプレッシャーは物凄い筈だ。
それにも関わらず動けているというのは普通に凄いと思うが……だからといって、このままにする訳にはいかないだろう。
高杉の身体に悪影響が残っても困るしな。
仕方ない。高杉が疲れて動けなくなるのを待つつもりだったが……
「高杉、そろそろ俺からも攻撃に出る。本来ならお前がギブアップするまで待つつもりだったんだがな。そういう意味では俺に手を出させたお前の勝ちと言ってもいいかもしれない」
その言葉に高杉の瞳に力が戻り……だが、次の瞬間には背後に回っていた俺の手刀が首へと振り下ろされ、あっさりと意識を失う。
そのまま床へと倒れそうになる高杉の身体を支えると、物凄い汗の臭いが漂ってきた。
ただでさえ混沌精霊として高い五感を持っている俺としては、何気に普通に殴るとかよりも汗の臭いの方がダメージがでかい。
「……そこまで。勝者アクセル」
秋山の声が周囲に響き、それを聞いていた者達がそれぞれの反応を示す。
白鳥は苦い溜息を、神楽坂は安堵の息を……といった具合に。
中でもヤマダは感動したのか涙すら流して拍手をしていた。
やっぱりヤマダって木連の人間と通じるところが多いよな。
「アクセル君、高杉君の怪我治すかー?」
治療担当としてこの場にいた近衛の言葉に、少し考える。
高杉が意識を失ったのは、首に一撃を食らった為だ。
特に怪我らしい怪我はしておらず、どちらかと言えば今の高杉に必要なのは体力回復の方だろう
……まぁ、素人が首の後ろを殴って意識を失わせるといった行為をした場合には重大な障害が出る可能性もあるのだが、幸い俺は素人って訳じゃない。
「そうだな、多分特に問題はない筈だと思うけど、一応念の為に治療はしておいてくれ」
「わかったでー」
そう言いながら高杉の近くへとやって来ると、意識を失っている高杉の身体にそっと手を伸ばす。
「アクセル代表、彼女は一体なにを?」
「……うん?」
不思議そうな様子で尋ねてくる秋山。
「お前も近衛とは何度も会った事があるだろ?」
白鳥、高杉と共に何度も俺達の家――正確にはコンテナ――にやってきているのだから、当然近衛と会った事も何度もある筈だった。
だが……と考え、そう言えばと思い出す。
「ええ、何度も会ってはいましたが……」
「近衛は、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ