第一部
第三章
第二十六話『ありがとう』
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全く無いのよ!」
ほむらは冴子に立ち去るように言おうと思っていた。いや、言いたかったし言うべきであった。しかし冴子の言葉はあまりにほむらの心に突き刺さって来た。ほむらは自分の偏狭さに恥じ入ってしまい、言葉が出せなくなってしまっていた。
申し訳なさそうに冴子を見るほむらに、言ってやったぜとばかりに冴子はウインクして見せた。
亮 「フウン、まあいいんだけどね、僕は。」
亮はおやおやとばかりに肩をすくめた。
亮 「でも悪いけど、ほむらにしか分からない事を言うよ。僕はねえ、前の世界の神なのさ。つまりまどかの前の神って訳さ。」
冴子 「あら、随分とお安そうな神様ですこと。」
冴子の茶々に軽く手を挙げて応え、亮は続けた。
亮 「僕には少し歳の離れた夕って姉さんがいてね。前の世界、つまり僕の宇宙で魔法少女になったんだ。そして魔法少女になった時、姉さんは気付いたんだ。かつて自分に弟がいた事、そしてその弟が世界を改変して自分が今いる世界になった事に。」
ほむら「…」
亮 「そして更に、自分の弟が紡いだ宇宙が、まどかという魔法少女によって改変される運命にある事にもね。」
ほむら「えっ!?」
亮 「姉さんの魔法具はね、本だったんだよ。預言の書、プロフェシー。でもね、姉さんのその本の力を用いても、どういう訳だかまどかという子がいつ魔法少女になるのか分からなかったんだ。」
ほむらにはその理由に心当たりがあった。
亮 「そこで姉さんはね、いつやって来るのか分からないまどかから、僕の宇宙を守る為に敢えて魔女となったんだ。ほむら、君は僕の姉さんを知っているんじゃないのかい?」
ほむら「そんな…まさか…じゃあワルプルギスの夜って…」
亮 「そうさ、その通り。僕の宇宙を、僕を守る為に魔女になった姉さんの計画を、台無しにしたのがお前なんだよ、ほむら!」
ほむら「でもワルプルギスの夜は凶悪な魔女よ。たくさんの人があいつの犠牲になっていたのよ。」
亮 「いや、大勢から見ればそんな犠牲は微々たるものだよ。姉さんはきっちりと予測をして、まどかを倒した後急速に弱まるように調整していたんだ。思い出してみろよ。ワルプルギスの夜は結界を張らずに具現化していたろ、あれは激しくエネルギーを消耗するんだ。結界を張らずに具現化出来るんじゃなくって、端っから消えて無くなる為にわざとそうしていたんだ。」
亮は段々感情的になって来た。
亮 「なのにお前らは、そんな姉さんを何度も何度も傷付けて…。それでも最初の内はまだよかったよ、まどかは弱くって簡単に倒せたからね。でもお前が何度も何度も時間を巻き戻して行く内に、まどかはどんどん強くなって…それでも姉さんは何度もまどかに立ち向かって行って…もう勝ち目が無くなってからも何度も何度も…」
ほむらは吐き
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