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SECOND
第一部
第三章
第二十六話『ありがとう』
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法少女になった時点でそういった覚悟が必要だったんだよ。だから詩織、頑張ってしっかりしてちょうだい。」
 そう言って、今度は翠が詩織を抱き締めた。詩織の耳元で翠が囁く。
翠  「お願い詩織、今は私を安心させて。お願い…」
 詩織は嫌だったが涙ぐみながら翠に応えた。
詩織 「…うん分かったよ、翠。」
 翠は詩織の返事を受け取ると、近くに来ていた直にもハグをした。
翠  「直、あなたも頑張ってね。」
直  「うん、翠。」
 皆がさめざめと泣く中、翠は改めてかしこまるとみんなに向かって別れを告げようとした。しかしその時、詠が翠に釘を刺して来た。
詠  「さよならは、駄目よ。待ってるからね。」
 少し虚を突かれたが、翠は涙を零しながらも笑顔を作ってみんなに言った。
翠  「詠さん、詩織、直、本当にみんな、ありがとうね。」
 そして思いを断ち切るように振り向くと、走り出しながら魔法少女に変身し、夜の闇の中へと消え去って行った。

  ?

 ほむらと冴子の前に現れた亮は、携帯を切るとそれを投げ捨て、まずは自己紹介を始めた。
亮  「やあ、僕の名前は響亮。ほむら、君は陽子かマミ、あるいは翠辺りから僕の事を聞いているのかな?」
 ほむらも冴子も目前にいる亮という者が、只者ではない事がすぐに分かった。
ほむら「…。」
 ほむらは迂闊に情報を提供する事にならないように沈黙で答えた。
亮  「う〜ん、聞いてないのかなぁ…やれやれ、口止めなんてしていないのに魔法少女ってのは口が堅いようだね。それともお互いに信用出来ていないのかな?」
 亮は歩き出し、二人の周りを一定の距離を置いて回りながら少し楽しそうに続けた。
亮  「まあいいや。ところでさあ、ほむらじゃない方の君、えーと冴子だっけ?僕は正直、君には興味が無いんだよねぇ。だから君がここから立ち去るのなら止めはしないよ。どうだい?」
 ほむらは冴子に去って欲しかった。自分の問題に他人が巻き込まれるのが嫌だったからだ。
冴子 「お断りよ!仲間を置いて一人逃げるなんて出来ないわ!」
亮  「ふーん、仲間ねえ…ほむらの方もそう思っているのかな?まあとにかく、このままここにいれば君は確実に死ぬ事になるよ。それでも行かないって言うのかい?」
冴子 「安い脅しね。でもね、たとえそれが本当でも、私は仲間を見捨てたりなんかしないわ。」
亮  「君にとってほむらは、命を懸ける程の最高の友達だって言うのかい?」
 ほむらは最高の友達という言葉を聞いてハッとした。
冴子 「命を懸けるのに最高の友達である必要なんて、無いわ!」
 その冴子の言葉は、更にほむらに衝撃を与えた。
冴子 「私達魔法少女はね、皆命懸けで戦っているの。だから戦友として共に戦う仲間の為に命を懸けるのに、最高なんて必要は
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