第一部
第三章
第二十六話『ありがとう』
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きキュゥべえから転属の打診を受けたの。」
詩織 「転属?」
翠 「うん、浜の端って所に行ってくれって言われたんだけどね…」
直 「えーっ、だって今ここ大変じゃない。翠がいなくなったら…どうするの?」
詠 「どうせキュゥべえはあの魔獣のこと知らないんでしょ。まったく…」
翠 「いいえ、キュゥべえはそれを知っていました。」
詩織 「何それ、それを知っててあなたをここから外そうっていうの?」
翠 「キュゥべえはもうあんな奴はここには現れないって言っていました…」
直 「ホントかよ…」
詩織 「どうしてそんな事言えるのかしら?」
翠 「それは…」
翠はみんなに亮の事を話すべきか迷った。キュゥべえの情報隠匿には憤ったものの、いざ自分が情報開示側になるとそれを言うべきか否かの判断は難しかった。みんなに余計な心配をさせる必要はなく、亮は自分が倒せばそれで済む事だと考え、結局翠はそれを知らせない事にした。まあ、自分でもよく分からないものの説明が面倒だったことも多分にあるのだが。
詠 「それであなたはどうするつもりなの、翠。」
翠 「私は…」
翠はみんなを見回した。
翠 「もう暫らくここにいて、キュゥべえの言葉を確かめてから決めようかと思っているのだけれど…」
詠 「そう…じゃあそういう事でいいんじゃないの?」
詠は詩織と直に向かって言い暗に同意を促した。二人は詠に向かって軽く頷いた。
?
ほむらは無難に浜の端での学校生活を送っていた。最近魔獣がよく出るようになったと言っても見滝原の比ではなく、魔法少女としての仕事も実に楽なものであった。
クラスメイトや冴子との日々が平穏に過ぎて行く。ある日男子から告白されるも、鉄壁のフ≠フ字でそれを撃退してのけるほむら。そんな日常が続いていた。
そして、その夜がやって来た。
浜辺でいつものように楽々と魔獣を倒し終えたほむらと冴子の前に、何やら携帯電話で通話している響亮が歩み寄って来た。
?
その夜見滝原では、早々に魔獣狩りを終えた翠、詠、詩織、そして直の四人が、魔獣空間から出ていつもの公園に戻って来ていた。翠が変身を解くと、途端にポケットの携帯が着信を伝えた。翠自身はそれに少し驚いてしまっていたが、他の三人はどうぞどうぞとばかりに頷いて通話を勧めていた。翠はその流れに促されるように三人に背を向け何歩か歩み出ると、送信者不明の謎の電話に出た。
翠 「はい、葉恒ですけど、どちら様でしょうか?」
電話をする翠を置いて三人は閑談する。
詠 「最近、魔獣の数も質もめっきり落ちて来たわね。」
詩織 「そうですね。翠もいるし、正直四人も要らないくらいですものね。」
詠 「でもこれなら、誰も犠牲にならずに済むからいいわよ
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