第一部
第三章
第二十五話『神をも砕くだろう』
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かい?」
翠 「私には魔女がどんなものか分からなかった。ほむらさんは勝手に来たんだし、大体魔女になりたくないと言ったのはまどかさんの方だ!」
亮 「まどかを撃ってスッとしたろ!」
翠 「してない!」
亮 「いや、したね。気持ち良かったね。邪魔者が消えて清々したよね!」
翠 「してない!黙れ!黙れ!」
翠の番える矢の光輪が、まるで炎のように赤く染まり大きく揺らいだ。その赫々たる様を見て亮は目を細めて呟く。
亮 「おー怖い怖い…なるほど、これなら神をも砕くだろう…」
翠は怒りの形相で亮を睨み付け、今にもその矢を放ちそうだった。だが翠は亮を殺す事にではなく、その赤い矢を射る事に抵抗があった。まだ僅かに何かが翠を繋ぎ留めていた。
みーどーりー
その時、微かに翠を呼ぶ声が聞こえて来た。
翠ー、どこー
その微かな声の主は恐らく詠だった。その声は堕ちようとする翠の心を引き返らせた。光輪が青白く戻る。翠は我に返り、それに応えて声を上げた。
翠 「ここでーす!」
詠 「どこー?」
翠は後方から聞こえるその声に答えるべく、一旦後ろを向いて叫んだ。
翠 「詠さーん、こっちでーす!」
そしてすぐに前に向き直したが、そこに亮はもういなかった。翠は辺りを見回したが、どこにもその姿は見受けられなかった。翠はぎこちなく弓を下げた。
詠 「ああ、よかった。ハアハア…翠、無事だったのね。ハアハア…あんまり遅いから心配になっちゃってね…」
大声を張り上げ今まで自分を必死に探してくれたであろう詠は息を切らしていた。
翠 「詠さん、有り難う。…私なら大丈夫ですよ。」
詠 「あの凄い瓦礫が…」
翠 「ええ、あの魔獣です。」
詠 「フフッ、さすがねぇ…」
詠は翠の様子が少しおかしいと感じた。
詠 「どうかしたの?」
翠は敢えて亮の事を言わない事にした。
翠 「いいえ…さすがに疲れました、帰りましょ。」
詠 「…そりゃそうでしょうね、帰ろ。」
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