第一部
第三章
第二十五話『神をも砕くだろう』
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話なだけじゃないですか。」
亮は余裕有り気に頷きながら翠を制するように右手を挙げた。
亮 「認めるよ、確かにそういう側面はある。でもね、神になってこの世を書き換えるって事はとんでもなく大変なことなんだ。迂闊に大きく変化させようとすると、下手をするとこの宇宙自体が存在出来なくなりかねないんだよ。この宇宙を大体今のままで書き換えようとすると、せいぜい法則の一つくらいしか変えられないんだ。僕を含めた今までの神も、そして今の神も、ちょっとずつちょっとずつ変化させ、出来るだけより良い世界にしようと頑張って来たんだよ。でもまあ、あちらが立てばこちらが立たずと言うか、良かれと思った事が裏目に出る事もあってね、中々誰もが納得できる完璧な世界にはならないものなんだよ。」
そして亮は翠を指差し言った。
亮 「なんなら、君もやってみるといい。」
翠 「ん…」
翠は亮が一体何を言いたいのか分からなかった。しかしすでに翠は亮の術中に嵌まっていた。なぜなら翠は亮の話を真実として受け入れてしまっていたからだ。この時、翠に必要な事は真実を知る事ではなく、亮の事を疑い続ける事だった。もう翠の心を護る陽子はいなくなってしまっていた。
亮 「分かっただろ…」
翠 「何がです…」
亮 「ほむらとまどかの強い絆がさ。」
翠 「…」
亮 「君なんかが入り込む余地なんてない、前世からの二人の固い繋がりが。」
翠 「…」
亮 「なのに君ときたら、敬愛するほむらをまどかに盗られたと浅ましくも嫉妬したろ。」
翠 「別に…私は…」
亮 「君はほむらに認められたかった、近しい存在となりたかった。ほむらに褒められたかったし、よくやったと頭を撫でて貰いたかったろ。なのに突然まどかが現れて、君の欲しいものを全部横取りして行った。」
翠 「…」
亮 「ほむらを心配する事を口実に二人の部屋を訪ねたよね。その時君はどうしたんだい?ほむらがまどかを庇って嫉妬したろう、立ち尽くすまどかに苛立ったろう。」
翠の口から僅かに声が漏れる。
翠 「黙れ…」
亮 「雨の廃工場でまどかに自分を撃てと言われた時、全く躊躇が無かったろう。」
翠は自分に言い聞かせるように呟く。
翠 「違う…」
亮 「その時、ほむらとまどかの会話を聞いていて焦れたろう。」
翠 「いない…」
亮 「君の治癒力を使えばまどかを救えたんじゃないのかい?」
翠は弾かれたように声を上げた。
翠 「あの時は…」
そして抑え気味に続けた。
翠 「そんな力があるなんて知らなかったから…」
亮 「君の実力ならあのまどかぐらいがなる魔女なんて、なってからでも充分倒せたんじゃないのかい?それをわざわざほむらの目の前で、人の姿見をしたまどかの内に敢えて撃ったんじゃないの
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